女性と新型コロナ 国連ウィメンの声明①
「しんぶん赤旗」日刊紙に、女性と新型コロナについての国連ウィメンの声明が掲載されました。
女性は、経済的弱者だけでなく、自粛を強いられている旅行、観光、レストラン、食糧生産を担っているのは女性が中心だと。家事や介護などを担っているのも女性が中心だということ。
しかし、政治や企業の意思決定には女性はほとんんど関わっていないことを指摘しています。
まさに、ジェンダー平等の問題がそこに横たわっているのです。
国連女性機関「UNウィメン」のアニタ・バティア副事務局長が3月26日に発表した声明「女性とCOVID-19(新型コロナウイルス)―各国政府が今すぐできる五つのこと」(本紙3月29日付既報)の全訳を紹介します。声明は、新型コロナ対策で女性を取り残していないかを問いかけ、各国政府にジェンダーの視点を貫いた施策を求めています。
(翻訳=日本共産党中央委員会ジェンダー平等委員会)
世界の各国政府はCOVID-19(以下、新型コロナの呼称を使用)のパンデミックを収束させるために奮闘しています。いくつかの声が女性の受けるインパクトを強調しましたが、ジェンダーへの配慮はまだ、主に男性リーダーたちの意思決定を形作っていません。同時に、新型コロナによるインパクトの多くは女性を最も強く直撃しています。以下がその理由です。
第一に、経済的社会的インパクトは全員にとって深刻である一方、女性にとってはより深刻です。隔離や閉鎖によって直接的な影響を受けている公式経済―旅行、観光、レストラン、食品生産―の多くは、女性の労働力参加の非常に高い産業分野です。女性はまた、世界中で、非公式市場の中の非公式経済と農業の労働力の多くを構成しています。先進国と途上国経済の両方において、多くの非公式セクターの仕事―家庭内労働者、ケア労働者―のほとんどは、健康保険を持たず、頼ることのできる社会的セーフティーネットを持たない女性によって行われています。
同時に、女性は概してより大きなケア負担を背負っています。新型コロナ以前でさえ、平均して女性は男性の3倍のケア労働を担っていました。現在、子どものいる公式セクターの女性労働者は、以下の一つかそれ以上のことのバランスを保っています。すなわち、仕事(もしまだ持っていれば)、子どもの世話、家庭学習、高齢者介護、そして家事。女性が世帯主の世帯は特に脆弱(ぜいじゃく)です。
第二に、この危機は女性の健康と安全にインパクトを与えています。この病気の直接的インパクト以外にも、すべてのサービスが基本的な医療需要に向けられる中、女性にとって不可欠な妊産婦向けヘルスサービスへのアクセスが難しくなっているでしょう。避妊や他のニーズに対するサービスが入手しにくくなっているでしょう。女性の私的安全も脅かされています。この病気の克服に必要な条件そのもの―隔離、人混みを避ける(外出を控える)、行動の自由の制限―が、倒錯したことに、虐待を激化させるのにちょうどよい国のお墨付き状況を虐待者に与えてしまうのです。
第三に、ヘルスワーカー―特に看護師-の最前線の過半数が女性であるために、彼女らの感染リスクが高いことです(世界の医療・福祉従事者の67%が女性という推定もあります)。そのため、すべてのケア提供者にとって安全な条件を確保することへの注意が払われなければならない一方で、女性の看護師とケア提供者へ特別な注意が必要です―マスクなどの個人の防護用装備だけでなく、生理用衛生品その他のニーズ―それらはうっかりと見過ごされやすいものですが、彼女らがしっかりと役割を果たすことができるために必要不可欠です。
最後に、このパンデミックへの対応を計画し実行する過程において、鍵となる意思決定権者のほとんどが男性であることは衝撃的です。世界のどこでも、誰かがテレビをつければ、男性ばかりを目にします。女性がいまだ重要な意思決定機関―政府、議会、内閣や企業―で男性と同程度の参加ができていないことを考えれば、これは驚くに値しないでしょう。女性は世界の議員のたった25%で、国家や政府の首脳の10%以下です。国家や政府の首脳である少数の輝かしい女性の例もある一方、このパンデミックでの意思決定の場における女性の不在は顕著です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月3日付掲載
「しんぶん赤旗」日刊紙に、女性と新型コロナについての国連ウィメンの声明が掲載されました。
女性は、経済的弱者だけでなく、自粛を強いられている旅行、観光、レストラン、食糧生産を担っているのは女性が中心だと。家事や介護などを担っているのも女性が中心だということ。
しかし、政治や企業の意思決定には女性はほとんんど関わっていないことを指摘しています。
まさに、ジェンダー平等の問題がそこに横たわっているのです。
国連女性機関「UNウィメン」のアニタ・バティア副事務局長が3月26日に発表した声明「女性とCOVID-19(新型コロナウイルス)―各国政府が今すぐできる五つのこと」(本紙3月29日付既報)の全訳を紹介します。声明は、新型コロナ対策で女性を取り残していないかを問いかけ、各国政府にジェンダーの視点を貫いた施策を求めています。
(翻訳=日本共産党中央委員会ジェンダー平等委員会)
世界の各国政府はCOVID-19(以下、新型コロナの呼称を使用)のパンデミックを収束させるために奮闘しています。いくつかの声が女性の受けるインパクトを強調しましたが、ジェンダーへの配慮はまだ、主に男性リーダーたちの意思決定を形作っていません。同時に、新型コロナによるインパクトの多くは女性を最も強く直撃しています。以下がその理由です。
第一に、経済的社会的インパクトは全員にとって深刻である一方、女性にとってはより深刻です。隔離や閉鎖によって直接的な影響を受けている公式経済―旅行、観光、レストラン、食品生産―の多くは、女性の労働力参加の非常に高い産業分野です。女性はまた、世界中で、非公式市場の中の非公式経済と農業の労働力の多くを構成しています。先進国と途上国経済の両方において、多くの非公式セクターの仕事―家庭内労働者、ケア労働者―のほとんどは、健康保険を持たず、頼ることのできる社会的セーフティーネットを持たない女性によって行われています。
同時に、女性は概してより大きなケア負担を背負っています。新型コロナ以前でさえ、平均して女性は男性の3倍のケア労働を担っていました。現在、子どものいる公式セクターの女性労働者は、以下の一つかそれ以上のことのバランスを保っています。すなわち、仕事(もしまだ持っていれば)、子どもの世話、家庭学習、高齢者介護、そして家事。女性が世帯主の世帯は特に脆弱(ぜいじゃく)です。
第二に、この危機は女性の健康と安全にインパクトを与えています。この病気の直接的インパクト以外にも、すべてのサービスが基本的な医療需要に向けられる中、女性にとって不可欠な妊産婦向けヘルスサービスへのアクセスが難しくなっているでしょう。避妊や他のニーズに対するサービスが入手しにくくなっているでしょう。女性の私的安全も脅かされています。この病気の克服に必要な条件そのもの―隔離、人混みを避ける(外出を控える)、行動の自由の制限―が、倒錯したことに、虐待を激化させるのにちょうどよい国のお墨付き状況を虐待者に与えてしまうのです。
第三に、ヘルスワーカー―特に看護師-の最前線の過半数が女性であるために、彼女らの感染リスクが高いことです(世界の医療・福祉従事者の67%が女性という推定もあります)。そのため、すべてのケア提供者にとって安全な条件を確保することへの注意が払われなければならない一方で、女性の看護師とケア提供者へ特別な注意が必要です―マスクなどの個人の防護用装備だけでなく、生理用衛生品その他のニーズ―それらはうっかりと見過ごされやすいものですが、彼女らがしっかりと役割を果たすことができるために必要不可欠です。
最後に、このパンデミックへの対応を計画し実行する過程において、鍵となる意思決定権者のほとんどが男性であることは衝撃的です。世界のどこでも、誰かがテレビをつければ、男性ばかりを目にします。女性がいまだ重要な意思決定機関―政府、議会、内閣や企業―で男性と同程度の参加ができていないことを考えれば、これは驚くに値しないでしょう。女性は世界の議員のたった25%で、国家や政府の首脳の10%以下です。国家や政府の首脳である少数の輝かしい女性の例もある一方、このパンデミックでの意思決定の場における女性の不在は顕著です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月3日付掲載
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