未明に初雪のちらついた9日(金)、研究室で事務仕事を片付けての帰り道、楽しみにしていた映画を観てきた。『パンズ・ラビリンス』で一躍名を挙げたギレルモ・デル・トロプロデュースのスペイン映画、『永遠のこどもたち』である。簡単にいってしまえば、邦画なら『スウィート・ホーム』(ある意味では『リング』にも近い)、洋画なら『アザーズ』の系譜に属する親子幽霊屋敷もの。まだ観にゆく人もいると思うのでストーリーはばらさないが、上の二者がそれぞれ此岸/彼岸のどちらかを主要な舞台に、境界の動揺によって生じる混乱を終息させようとする話だったのに対し、今回の作品は「愛する者を追ってどこまでゆけるか、彼岸まで到達できるか」をテーマにしている。その点、一昨年のテレビアニメ『電脳コイル』(教育テレビ)に近い部分もあるし、宗教学的にはカスタネダなどの「向こう側に行ってしまう話」に絡めて理解することもできる。途中、ジェラルディン・チャプリン演じる霊媒が登場し、屋敷のなかを捜索して回るシーンがあるのだが、近代オカルティズムに関心がある向きには面白く観られるだろう。『エミリー・ローズ』の裁判シーンを思い出す学的議論は、映画の完成度を損ねないよう極力抑えてあるが(逆に昨今では、少しでもこういう場面を入れないとリアリティが出ないのかも知れない)、心霊現象に対する考え方など、ぼくが漠然と抱いているイメージに近かった。彼岸/此岸の関係と位置づけ、作品の構造とラストシーンのありようは、やはり『パンズ・ラビリンス』を踏襲している。もう少し新鮮さがほしかったが、それなりに満足した。
本編上映前の予告編で、幾つか期待すべき作品に遭遇。中村貫太郎主演の『禅』は、年末からテレビCMも流れていたが、やはり観にゆかねばならないだろう。藤原竜也が演じているのは北條時頼だそうだ。アンディ・ラウ主演で趙雲を主人公に据えた『三国志』も、もしかすると『レッドクリフ』より面白いかも知れない。しかし何といっても期待の大きいのは、北川悦吏子初監督作の『ハルフウェイ』だろう。北川悦吏子にはとくに関心がないのだが、映像をみてピンときたのでクレジットを追ったらやはり、「岩井俊二×小林武史プロデュース」とある。岩井映画独特のドキュメンタリーなタッチは健在で、本当にキラキラした青春映画に仕上がっている印象だ。ぼく自身は10代に戻りたいとは思わないが、その時代をを描いた映画には非常に惹かれる(やはり、どこかに憧れている部分、やり直したいと思うところがあるのだろうか)。とくに、岩井俊二の撮った東京少年のPVや、初の劇場用映画『ラブレター』は、未だに個人的ベスト作品の上位を占めている。最近は、ショッキングなシーンや病死ばかりをモチーフとしたケータイ小説あがりが多かったので、久々に居心地のよい時間が得られそうな予感がする。北乃きいと岡田将生の主演。
本編上映前の予告編で、幾つか期待すべき作品に遭遇。中村貫太郎主演の『禅』は、年末からテレビCMも流れていたが、やはり観にゆかねばならないだろう。藤原竜也が演じているのは北條時頼だそうだ。アンディ・ラウ主演で趙雲を主人公に据えた『三国志』も、もしかすると『レッドクリフ』より面白いかも知れない。しかし何といっても期待の大きいのは、北川悦吏子初監督作の『ハルフウェイ』だろう。北川悦吏子にはとくに関心がないのだが、映像をみてピンときたのでクレジットを追ったらやはり、「岩井俊二×小林武史プロデュース」とある。岩井映画独特のドキュメンタリーなタッチは健在で、本当にキラキラした青春映画に仕上がっている印象だ。ぼく自身は10代に戻りたいとは思わないが、その時代をを描いた映画には非常に惹かれる(やはり、どこかに憧れている部分、やり直したいと思うところがあるのだろうか)。とくに、岩井俊二の撮った東京少年のPVや、初の劇場用映画『ラブレター』は、未だに個人的ベスト作品の上位を占めている。最近は、ショッキングなシーンや病死ばかりをモチーフとしたケータイ小説あがりが多かったので、久々に居心地のよい時間が得られそうな予感がする。北乃きいと岡田将生の主演。