【別名「シャラノキ」はインド原産の沙羅双樹との混同から】
ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。本州の東北中部以南と四国、九州、朝鮮半島の山地に自生し、高さは10~20mにもなる。初夏の6~7月頃、花の形がツバキに似た白い5弁花を上向きに付ける。花径は6cmほどで、朝咲いて夕方には落花する一日花。花びらは薄く、縁には細かいギザギザの鋸歯がある。別名「シャラノキ(沙羅の木)」。近縁種に花や葉が小さく、茶庭によく植えられるヒメシャラがある。
別名は光沢のある木肌がよく似て白い花を咲かせるインド原産のサラノキ(フタバガキ科)と間違ったことによる。釈迦が2本のサラノキの下で入滅したという伝説から仏教の聖樹とされ、広く「沙羅双樹(さらそうじゅ)」の名前で知られる。ただサラノキは熱帯性で寒さに弱いため、日本では温室以外での栽培は難しい。各地の寺院などに植えられ沙羅双樹と呼ばれているものも、ほとんがナツツバキであるといわれる。
沙羅双樹というと、平家物語の冒頭を思い浮かべる方も多いことだろう。「諸行無常の鐘の声 諸行無常の響あり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」。この沙羅双樹もナツツバキを指すといわれる。学名は「Stewartia pseudo‐camellia(ステワーティア・プセウドカメリア)。属名は18世紀の英国の政治家で植物研究家でもあった伯爵のジョン・スチュワート(1713~92)に因み、種小名は「ツバキ属に似た」を意味する。「踏むまじき沙羅の落花のひとつふたつ」(日野草城)
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