【24cm超の石剣、犬の頭骨、ほぼ完全な形のヒョウタン……】
唐古・鍵考古学ミュージアム(奈良県田原本町)で「たわらもと2015発掘速報展」が開かれている。弥生時代を代表する環濠集落、唐古・鍵遺跡から新たに出土した打製石剣や犬の頭骨、木製品、土器、種子類などのほか、十六面・薬王寺遺跡、羽子田遺跡、佐味遺跡などの出土品も展示中。24日まで。
石剣(写真㊧)は弥生時代中期後半のもので長さ24.3cm、最大幅3.6cm。唐古・鍵遺跡の北西端から出土した。弥生時代のものとしては県内最大級という。中期中頃の犬の頭骨やカモ類の胸骨、中期後半の木製品や種子類、原形をとどめた様々な葉っぱなども見つかった。さらに未熟な状態のヒョウタンがほぼ完全な形で出土した(同㊨)。
同遺跡北西端では弥生時代中期前半の方形周溝墓2基を発掘、後期末ごろの土器類も大量に出土した。その結果、弥生前期末~中期初頭にかけ用水路から墓域となり、さらに中期中頃には3本の環濠が掘削されて集落を取り巻く環濠帯に変わっていく集落縁辺の土地利用の変遷過程が確認できた。
唐古・鍵遺跡の南西に位置する十六面・薬王寺遺跡からは弥生末期~古墳時代前期後半の井戸が20基以上見つかった。直径は1m未満の小規模なものが多いが、底からほぼ完全な形の壷や甕などが出土した。一辺が3m前後もある大形の井戸も出土、土器類とともに玉素材の碧玉や滑石、淡緑灰色の石グリーンタフなどが多数見つかった(上の写真㊧)。
十六面・薬王寺遺跡からは小さな穴の中から、紐でくくられた9世紀後半の銭貨11枚と土師器皿6枚(同㊥)が収められた平安時代の地鎮遺構も出土した。銭貨には土地神を鎮めるための供物や土地神に支払う土地使用料としての意味合いが含まれていたとみられる。羽子田遺跡では1号墳の周濠上層部から平安時代の須恵器三耳壷(さんじこ、同㊨))が出土した。高さ36.5cmで、肩部に2つ、胴部下側に1つの耳を持つ変わった形。9世紀頃に播磨周辺で焼かれたとみられる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます