【沖縄名「サンニン」、葉で包み蒸す草餅「ムーチー」】
ショウガ科アルピニア属(ハナミョウガ属)の常緑多年草。熱帯~亜熱帯性植物で、日本では沖縄や九州南部の大隅半島、屋久島、奄美大島、八丈島などに自生、海外では中国南部から台湾、マレーシア、インドなどにかけて分布する。ゲットウの名前は漢名の「月桃」の音読みから。属名から「アルピニア」と呼ばれることもある。英名は「シェルジンジャー」。
背丈は2~3mほど。7月頃、長さ20~30cmの穂状の総状花序を下垂させて、20~30個の白花を次々に開いていく。その花の蕾(つぼみ)が桃に似ていることから「月桃」になったとも。花の内側は黄色で赤い縞模様が入る。葉は長さが40~50cm、幅が10~15cmほどもある大きな長楕円形。葉に黄色の斑(ふ)が入る「キフゲットウ」は観葉植物として人気が高い。台湾には背丈が4m以上になる「タイリンゲットウ」がある。
沖縄などでは昔から「サンニン」や「サニン」などと呼ばれてきた。台湾産のゲットウから作られる生薬「砂仁(さじん)」に由来するともいわれる。奄美では「サネンバナ」として親しまれている。沖縄では古くから旧暦12月8日にゲットウの葉で包んで蒸した餅菓子を作って食べる習慣がある。この餅を食べることで1年の厄を払い、同時に家族の健康を祈願するもので、この日は「ムーチー(鬼餅)の日」と呼ばれている。
葉の鞘部分は丈夫な繊維質からロープや漁網、草履などの材料として活用されてきた。最近では葉の爽やかな芳香や防虫・防菌・防カビ効果が改めて見直され、村おこしなどにつなげようとする動きも出てきた。既に様々な商品が開発されている。乾燥した葉を粉末にして練り込んだ沖縄そばやカステラをはじめ、化粧水、アロマオイル、石鹸、芳香剤、消臭剤、線香、障子紙・壁紙などの和紙……。大きな可能性を秘めた有用植物の1つといえそうだ。
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