CLASS3103 三十三組

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【読書】フェスタ

2024-05-13 21:05:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
フェスタ  作:馳星周

今回は徹頭徹尾競馬の物語だった
色々と黒いものが出てくるというわけではなく、ただ、
産駒がG1で勝つか、凱旋門賞で勝つかと、そこに血道をあげる男たち
あるいはその周辺の家族たちの物語で
聞かん坊の馬「カムナビ」をなんとか勝たせようとまわりの人間が
苦闘しながらも、その夢に飲まれていくように、
輝かしいその瞬間を生きていくという感じで、
小難しいというか、様々な問題は最小限で、ただ、馬が競馬で勝つ
そのために一喜一憂する人々の姿が描かれていて、
純度の高い競馬小説になってて、凄い楽しかった

スポーツもの、それも、ボクシングものに近い感覚だなと、
追い込んでいく姿や、その努力に四苦八苦するというストイックな内容がよくて、
ぐいぐい読まされてしまったのだが、負けるときは負ける、
勝つときは勝つ、そのメリハリがまた読んでて気持ちがいいし
ともかく楽しいのであった

悪役が出てきてという人間のいざこざというのはなくて
馬と対決しているといっても過言ではない、
この気難しい馬をどうやって調教して勝たせるか、
物凄いポテンシャルがあることを皆が認めていながらも、
それを出し切れない、出す気がないといった風すらある馬、
その狡猾さも含めて、魅力的に見えるというのが、実在の馬のそれと一緒なんだろうと
よく知らないけど、わくわくさせられてすごくよかった

物語としては、馬主に不幸があったり、
少なからずの辛い場面はあるのだけども
真剣勝負のまま、そこに横やりが入らないでというところが気持ちよく
最後いったいどうなるんだと、期待を持たせたまま進むのがまた、よかったと思うのである
登場人物に感情移入ではなく、読み手も同じように揺さぶられるというか
この馬なんとかなりそうと夢を見させてくれるのがたまらない

カムナビという馬が、あらゆることに影響を及ぼし、
それに触れた人たちがみんな何かをつかんでいくという
ご都合といってしまえばそれまでなのだが、それこそがとてもよい、
そうなって然るべきといった魅力を描き切っていて
競馬に取りつかれる、そのロマンが詰まっていたと
メモっておきたい小説だった


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