CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】貝に続く場所にて

2021-11-08 21:05:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
貝に続く場所にて  作:石沢麻依

難しい小説だった
久しぶりにがっつり文学を読んだという気分になった
多種多様な比喩の連続、丁寧できらびやかな描写、言葉選び、
話は、どこかSFめいているようでもあり、
それをごく当たり前に描写する現代劇でもあり
311震災の今に至る心のありようを描いた小説でありました
重い

なにせ物語というか、描写が抽象的すぎて
心象風景なのか、本当のそれなのか
そして、起きている事実はどこまでが受け入れられている事象で、
それはどういう認識なのか
まったくわからんと思いながら読んでしまう
震災で海に消えた友人が、ドイツのゲッティンゲンにいる、
そこに寺田寅彦もいて、夏目漱石の夢十夜の研究をしている
もうわけわからんけど、個人的に夢十夜のところに強くひかれて
ああ、そういう物語かと思うと
腑に落ちるでもないが、理解できた風にはなれたのだが
本当にその解釈であっているのか、
震災はきっかけにすぎず、あらゆる死との向き合い方というのが
この形で、そして、時折トリュフ犬が探してくる遺物のように
掘り返されてきて、誰かがそれを大切だと思う
そういうものなんだろうか、
ああ、説明をするということがなんと無粋であろうか
そんな気分になって、しかも、あってるかどうかもわからんから
とことん恥ずかしいという気分になるんだが
感想文として書かざるを得ない(別に強いられていない)

ドイツという場所でのお話なのに、
日本のお盆に従って、死んだ彼らが出現しているといった感じの
ちぐはぐさが、ごく当たり前に在独している日本人の心にはあり、
そこではない、死者とどう向き合うべきか
震災から9年を経て、その間の何かを埋め合わせるということに戸惑う
そんな描写が、ドイツの惑星の配置を記したプレートのある小径を歩きながら
思わされているというところなんだけども
もう、高尚にすぎてよくわからん

そんなわけで、読んだとはとても恥ずかしくていえない状態なんだが
とりあえず、書いてある字はすべて読み終えた、
そういう感じでありました
こういうのは通勤電車で読むとかしてはいけないな
きっちり読書をすると決めて、没頭して読まなくてわ