CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】道鏡-悪業は仏道の精華なり

2018-01-29 20:50:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
道鏡-悪業は仏道の精華なり  作:三田 誠広

恥ずかしいことに、名前は聞いたことあるけど
どんな人か知らない、ひょっとして書物の名前?
とか、自分の無知を思い知ったわけでありますけども
道鏡という、僧侶について書いた小説でありました

どうも、従来からある道鏡のイメージとは異なるものを描きだしていたそうで
知らないから、そういうものかと読んでしまったんだが、
実際は相当の悪坊主だった様子、
それを綺麗にとまではいわないまでも、
野心ぎらぎらした感じには描いておらず
孝謙天皇との関係や、様々な奇跡を交えて
ドラマチックに描いていながら、道鏡という人物のありかた
そして、法王が日本に生まれた時代というのを
読むことができたのでありました

東大寺や西大寺が建立されるころ、
正直、この平安京の遣唐使がどうしたという時代について
日本のほうの知識が不足しているなと
自分が反省ばかりの読書でありましたが、
大変に面白く、いくらか聞いたことのある、吉備真備や藤原不比等といった
随一の賢人、政治家などの争い、鑑真の登場だとか
その当時の仏教について、これまた
たまたま仏教美術から勉強を得ていた、密教の到来だとか、
遣唐使が持ってかえってくる仏教技術のそれこれだとか
なんだかんだ、繋がってきて楽しいと思える読書になったのであります

完全に個人的な読書感想になってしまい心苦しいのでありますが
小説としても、のし上がっていく僧侶である道鏡が描かれて、
その苦悩ではないが、不思議な身の上というのを
不思議に読めたのでありました
ある種の達観といったらいいか、極めるということの虚しさみたいなのが
なんとなく理解できるように思える小説で
面白かったのでありました
出世するやつは、そう欲していなくてもなっていくものとするか、
あるいは、そうではないと思いつつも、その裏にそれがあり
仏教でいうところの幻だったのかもというのが
興味深いというか、仏教の勉強を始めなくてはと思うような
そんな内容だと思えたのであります