CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】仏像ぐるりの人びと

2018-01-02 17:04:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
仏像ぐるりの人びと  作:麻宮 ゆり子

地味な題材ながら、仏像にまつわる物語を描いた
現代小説でありました
ちょっと、内容が暗いといったらいいか、
もうひとつ、どっちつかずとも感じたものの
おおむね楽しい、そして、素人と玄人の垣根の設定が
ちょっとおかしいと思ったというか
自分が、仏像世界に踏み入れようとしている段階で読むと
出てくる、素人役の若者たちの知識というか
慧眼に驚いたりして、そのあたり、
荒い小説だという印象を受けたのでありますが
面白いテーマで、読み込みました

若者の葛藤と、仏像を通して得られるものと、
ちょっと、あれこれのテーマが詰め込まれすぎていると
そんな風にも思ったのでありますが、
根気のいる仕事なんだなということと、
仏像修復という職業について、
その必要性と、ちょっとした憧れみたいなのを覚えたりしたんだが
なかなか、本当に大変な仕事なんだろうなと
思い知らされたのであります
実際これで、食っていくのは無理なんだろうな
でも、必要にも思うし、さりとて、一人だけだと
忙しいばっかりで、大変だろうなとか
なんだかんだ、考えさせられたのでありました
こういう伝統工芸とは違うが、
職人技みたいなのが必要な職業というのは
今後、なくなっていってしまうんだろうなと
業界構造でもないが、あれこれ考えさせられたのであります

小説としては、謎の仏像のルーツを探るというミッションがあって
それをなぞることで、仏像いろはみたいのを教えてもらえてと
面白いつくりで、わくわくして読んだのでありますが
ともかく地味な小説で、テーマの良さと
内容の面白さが、伝わりにくいなと
偉そうなことを考えて、むやみな心配をしてしまったのでありました
仏像について、もうちょっと知りたいとも思うので
シリーズ化してもらえないだろうかと
感じたのでありました

仏像を扱うというところに、
精神的な危険さを含むというところは
なるほどなと思わされるというか、もうちょっとそこを
しっかり描いてくれてもよかったのかもと感じたのでありました
確かに、医者に似たものなんだろうなと
むやみにありがたがる技でもないのだなと思うのであるが
そういうものだよなぁ