CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】このあたりの人たち

2018-01-09 21:00:07 | 読書感想文とか読み物レビウー
このあたりの人たち  作:川上 弘美

またも不思議短編を読んでしまった
不思議な世界観のある女の子が語った近所の人たちの顛末
それが、つらつらとまとめられた内容で、
よくある現代小説めいたもののようにも思うけど、
どう考えてもSFというか、少し不思議という感じが
なんとも面白いのか、気味が悪いのか、なんだか
もやもやするような気分になって楽しい、そういう小説でありました

短編というか、いくつかのエピソードをまとめたといった感じで
小説というジャンルなんだが、ルポというか、語り集というのが
ふさわしいような内容で、当然架空なのだろうけども、
その街に住んでいる人の不思議な話や、過去の面白い話なんかが
するりと披露されているわけで、これがまた、
珍妙というか、奇妙な内容ばかりなのに
こういうおじさんやおばさんや、はてまた、変わった子供とか
居たような気がするなと、
うっかり騙されてしまいそうな、御伽噺ほど時代がかっていない
だけど、現代小説風ながら、子供に聞かせるような語り、
そんな風情の物語なのでありました

最終的に、何をということもないのだけど、
主人公と思しき少女の語りが続いて、
とりたてて、凄い事件など起こることもなく
彼女が、この街で育まれて、それなりに育って
おそらくは健康に過ごしているんだろうと
そう想像させるような爽快さというか、
爽やかさをもっているのがいいところで、
面白いのでありました

大きな事件がないとか書いてしまったけども、
実際は、隕石が落ちてきて、それを
謎の生物が守ってくれたりとか、
ようよう考えてみると、大スペクタルが潜んでいたと
思い出したりもするところなんだが、
これまた不思議と、それ自体の大事さが、瑣末ではないが
やっぱり、昔話のようにするっと抜けていくみたいで
なんだろう、楽しいんだなぁと
こぼしてしまう感じなのであります

それなりに生きて、みんなたくましいといっていいのか、
いいことや、悪いこともありながら、
生きているよという、架空現実が広がっていて
読んで、なんとも、和やかというか、朗らかな気分になったのであります
いや、朗らかは違うな、和むがやっぱり適当な
そういう物語でありました