CLASS3103 三十三組

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【読書】台湾儒学―起源、発展とその変転

2018-01-27 20:07:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾儒学―起源、発展とその変転  著:陳 昭瑛

難しい本だった
素養がないのにこういう本にいきなり手をつけるのは
読書効率が悪いのだと痛感しつつも、
台湾儒学という、ひとつの研究ジャンルについて
かなり詳しく書いた本でありました

そもそも台湾儒学とは何か、
そういう解説すらもない、いきなり台湾における儒教の様子、
そこで信仰、あるいは信じられているものは何か、
それがどういう影響で育まれてきたのかと
そういうことが、様々な文献や文化活動から読み解くと
研究論文とまではいわないまでも、
相当に詳しく論じている内容で、
読んでいるほうからすると、求められる基礎知識のレベルが高すぎると
ちょっと手に負えない感じでもありました

そんな体たらくでありましたが、
読みとったというか、こうではないかと思ったところを
軽くメモっておきますと
台湾儒学は、鄭成功から始まるというのが主流のようで、
そのときの明への忠誠、忠孝というものが
台湾儒学、ひときわ、台湾に移住した漢人の心のよりどころになったと
そういうお話でありました
さらには、台湾という国、あるいは土地が、
大陸から分離していて、様々な抑圧を受けてきたということが
アイデンティティを醸成するのに、
複雑な作用をもたらした、その間に、先住民との諍いについて、
ひとつの道徳的な伝説が作られていて、それが
語り継がれていたり、政治に利用されたりといったことがあって、
日本統治時代に、この儒学、儒教的思想を強く押し出した、
蓮雅堂なる人物の台湾通史という本が発行されて、
その内容と、そのほか様々な文人の詩作などを引用しながら
台湾で、復讐や敵を討つことについて
儒教的な内容から肯定するといったものが導き出されていたのでありました

内容は、様々に考えさせられるというか
難しすぎてわからないところも多々あったものの、
儒教という観念、考え方が、大陸から持ち込まれて
地元の信仰とごたまぜになりながら、
道教との合体が不思議な形で進んでしまい、
本土よりも、一層に、孔子や文昌帝君なんかが、
科挙、儒教的なそれこれの神とされてしまい、信仰されると
儒学からいっそ、離れてしまうようなことがおきていたりと
本来というか、教義的、原理的な儒学とは
別になっているのが興味深いとかなんとかと、そういうお話が
相当に書かれていたのでありました

とりあえず、台湾通史なる本を読まないと
これ以上のことはわからないなと思ったりしつつ、
台湾人にとっての鄭成功、あるいは、儒教というものは
少し大陸に寄った考え方になるんだろうかとも
感じたりしたのでありました、台湾とは難しい国だ