このブログにもと大映の方々の思い出を書いて今回が178回目になります。ほとんど
の人は取り上げたと思うのですが、それでも気になり思い出しては書き続けて来ました。
昨日のことですが鹿児島での写真を見返していて、写真は何枚か当時アップしている
のですが矢島ひろ子さんを未掲出であることに気が付きました。従って今回は私も好き
だった女優の一人、矢島ひろ子さんです。
神戸の出身の彼女が大映に入ってきたのは昭和29年(1954)で、デビュー作はたしか
「火の女」(監督・島耕二)だったと思います。当時の大映は男優中心の作品が多かった
のですが、女優陣も層が厚く、京マチ子をはじめ、若尾文子、山本富士子に叶順子に
野添ひとみが加わり、華やかな色どりを形成していて、主演クラスには中々入りこめ
ない時期でした。
それでも彼女は現代劇にも時代劇にも使える女優さんだったので、或は器用貧乏だ
ったのか便利使いをされたのかもしれませんが、それでも約60本の大映映画に出
演しています。
この60本という数字は大変多い出演数だと思いますが、勝ちゃんと共演した「花ざ
かり男一代」をはじめ、「銭形平次シリーズ」「歌麿をめぐる五人の女」「女のつり橋」
「海軍兵学校あゝ江田島」などが印象に残る作品です。
彼女とは挨拶まわりで一緒の旅をしたことがありました。見かけはお色気たっぷりで
すが、普段は気のいいのんびりした性格の女性で、現代風に言えば天然でしょうか、
いい奥さんになるだろう…と思わせる人でした。
昭和36年(1961)の「大菩薩峠・完結編」(監督・森一生)を最後にスクリーンから消え
てしまい残念でしたが、昭和8年(1933)生れですから今年で82歳の筈、お元気で過
ごされていることを切に祈ります。