今回は大映京都の時代劇によく出ていた浦路洋子さんです。このブログで京都撮
影所の女優さんはほとんど書いたつもりでしたが、浦路さんを忘れていました。
彼女は和歌山県の出身で宝塚歌劇団を経て、昭和31年(1956)に大映へ入社して
きたのですが、宝塚ではしとやかな容姿と美しい歌声の娘役として活躍した人でし
た。彼女の1期後輩に扇千景さんがいます。
大映では宝塚出身者の独特なオーラと、清純でつつましやかな彼女の持ち味を生
かして、スターに仕立てようと考えていました。デビュー作は勝新太郎主演の「不知
火奉行」で、少し前に大映へ入ってきた雷ちゃんや勝ちゃんの相手役として、かな
りの本数の共演をしていて、時代劇のお姫様役から下町娘役まで幅の広い活躍
をしています。演技もしっかりしているし、彼女には根強い人気はあったのですが、
時代劇というのはどうしても男優さんがメインであり、女優さんは主演男優を盛り
立てる役目になってしまうため、中々人気沸騰とは行かないことが多いのです。
彼女のためには現代劇を製作していた東京撮影所にも定期的に出して、演技を
磨かせるとともに人気が出る方策を考えてやるべきだったと思いますが、結果的
に後の祭りでした。
いつの間にか姿を消してしまった浦路洋子さんですが、大映では約70本の作品
に出演していますから、いかに時代劇で重宝がられたのかがこの本数で判るとい
うものです。
彼女は昭和11年(1936)生れですから現在79歳。ブログでもご紹介したことがあ
る、雷蔵ファンの会に最近も出席して当時のことを熱く語ったと伺っていて、とても
お元気のようです。