ドイツ映画の巨匠「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフ監督作品が13
年ぶりにわが国で公開されるので、期待して見ました。
1941年10月20日、第二次世界大戦下で、ナチス占領下だったフランスで、1人
のドイツ人将校が暗殺されます。
ヒトラーは報復としてフランス人150人の銃殺を命令。報復のリスト作成を命じ
られたシャトーブリアン郡庁舎では、フランスの副知事が政治犯の多い収容所
から人選を始めますが、過度な報復に危険を感じたパリ司令部のドイツ軍人た
ちは、なんとかヒトラーの命令を回避しようとするものの、即日50人、更に1日ご
とに50人ずつ3回にわけての刑執行にするのが限度だったのです。
収容所では、銃殺されるリストの中には、映画館でドイツ占領に反対するビラを
まいたために捕まった、まだ17歳の少年ギィ・モケも含まれていました。対象者
は家族に向けて最後の手紙を書きはじめます・・・。
これは史実に基づいた内容で、当時のドイツ占領下のフランスの情勢が良く描
かれていますし、たった4日間の物語ですが、見ていて息苦しくなるような残忍
な内容と映像を、監督が淡々と描いていることに驚かされます。
娯楽映画としての要素は皆無ですが、反戦映画としてのメッセージ性を強く受け
取ること必至です。しかもドイツ人監督が、自国のマイナスを描くことの驚きも感
じますし、冷静に纏めてあるだけにインパクトは大きいのです。