勝地(かつち)ブログ

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vol.228 農家を守る②

2017年04月26日 16時57分23秒 | Weblog
今日も「勝地ブログ」にアクセスいただき、ありがとうございます。


高野山教法(4月15日発行)から転載。ことばの伝道「心の花」



vol.227の続きです。

(文責:勝地、小見出しは勝地)

自由民主党農林部会長 小泉進次郎 氏 講演詳報
~ 2020年以降の日本の行方 ~
一般社団法人内外情勢調査会 〈8月全国懇談会〉
ホテルニューオータニ東京 2016年8月25日


農業の衰退
私は昨日、ある新聞を読んだら、象徴的な言葉に出会いました。80歳の農家の方のこういうコメンントでした。「今の安倍政権の進める、攻めの農政というものに反対である」。その後の言葉が私は象徴的だと思う。こういうことだ。「儲からないのが、農業なんだ。攻めろといったって、そんなの無理なのは決まっている」。儲からないのが農業なんだという理解が農業の世界にあるとしたら、正直言って絶望的だ。なぜなら、儲からないのを前提に農業をやらなきゃいけないとしたら、頑張っている人は報われない。

今まで戦後の日本は、JAグループを中心に、競争よりも共同。突出することはよくないとして、美味いコメがあっても、マズイコメがあっても、全部一緒にして、国民の胃袋を満たすために、全国津々浦々隅々まで流さなきゃいけない。野菜もお肉も、果物も、そう。飢えることなく、全国隅々まで流さなきゃいけないから、出来たのは何かというと、全国に整備された卸売市場が出来た。
その結果、農家の皆さんは、どんなものが消費者から求められているかを考える前に、まずは作る、そして農協に出す、農協は市場に出す。しかし市場に出して、幾らになるかは分からない。こういうやり方は、食糧が足りない時代には良かった。しかし今、どういう時代になったかというと、食べ物が余ることが問題な時代になった。そういう時代に、何故、食糧難の時代のシステムのまま、これからも農業をやり続けることが農業の発展に繋がるのか。私は全く理解が出来ない。
仮に、この制度が上手くいってるとしたら、そのまま行けばいいでしょう。しかし、数字を全部見れば、全て右肩下がり。農業の総産出額は20年前のウルグアイラウンドの時と比べて、当時11兆円であったのが今は8兆円、農家の総所得5兆円だったのが今は2兆円、そして耕作放棄地は50万ヘクタールに増え、農家の皆さんの平均年齢は67歳、コメ農家の皆さんの平均年齢は70歳。5年後、誰が田んぼに出るんですか。10年後、人は居るんですか。
この数字を全部見たうえで、もう一つ見て欲しいのが農水省の在り方です。35年前、私が生まれたのは1981年ですから35年前です。その時の農水省の官僚の数は約7万人、今は2万2千人で3分の1以下の組織になりました。そして35年前の農水省予算は3.67兆円、今は2.3兆円。約1.3兆円くらい減っている。数字は右肩下がり。私は別に役所がスリム化されることは、悪いことではないと思っている、そのこと自体はいいんです。しかし、このように、どこを取ってみたって、このままでやっていけるという理屈が成り立つ方が難しいデータを見ていても、それでも根本的に変わりたくないというのは何なんだ。

儲かる農業
私がぶつかっているところというのは、さっきの農家さんの言葉に表されている。「儲からないのが農業だ、儲からないのが当たり前」と言う方に、「儲かるんだ」と示さなきゃいけない。これからそれを一つひとつやっていくために、私が何をやろうと思っているのか。
   
一つは、日本だけを見ていたら、農業は衰退の一途をたどります。輸出です。世界を見なきゃダメです。
今、日本は輸出の目標を、2020年の農林水産物輸出目標1兆円を1年前倒しして、2019年に達成するという目標を新たに建てました。しかし、輸出の現状を見れば見るほど、日本は農林水産物の輸出途上国です。今、輸出が7千億円、輸出が右肩上がりに進んでいるとしてたけど、最近、鈍ってきたという報道がありました。今、最も農林水産物で輸出を稼いでいるのは何か。ホタテ。ホタテ貝が伸びると輸出額が伸びる。ホタテが伸びないと輸出額は伸びない。ホタテの一本足打法から、脱却しなきゃいけない。そういったところも、見れば見るほど甘い。
そして、何処でも好きなように、外にモノが出せるわけじゃありません。どうやって食べ物が作られているか、生産工程が管理されているかいないかによっても、日本から外国に出せるか出せないかが決まってきます。その国際的な認証のことを、ハサップといいます。EUは、ハサップは義務化。それ取ってなければ出せない。アメリカは、来月から義務化。それ取ってなければ出せない。中国は、自分たち独自でチャイナ・ハサップというものを作った。中国らしいですね。日本は、義務化の方向で検討会が今進んでいる。検討、日本らしいですね。
このことによって何が起きるか。本来、出せるはずのものが出せないんですから。EU義務化、アメリカ義務化、中国も義務化。日本は義務じゃない。例えば日本から、美味しい和牛をアメリカに出したい。そうなっても、アメリカが指定をしたハサップを取っている屠畜場で処理された牛でなければ出せない。神戸ビーフ、アメリカで一番有名な日本の和牛です。神戸ビーフが、神戸港からアメリカに行ってる、と思うのが普通だと思うけど、そうはいかない。神戸ビーフは、鹿児島まで持ってって、鹿児島からしか出せないんです。これじゃあ、いくら作ったって、輸出で稼ぐことなんか出来やしない。私の地元の葉山牛だって、横浜港から出せるか。出せない。
だからこれからそういった拠点をしっかりと整備して、そして食べ物を作るというその工程管理も、業者の皆さん、生産者の皆さん、そういった意識で世界を見てもらわなかったら。日本は人口が減りますから、これから国内の需要はどんどん減る。だから世界を取らなきゃいけない。この輸出も、これからしっかり取り組んで行きます。

(つづく)


*誤変換及び文章の瑕疵は後ほど推敲します。

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