南但杜氏組合の自醸酒技能審査会が開催されました。行政が担っていた組合事務局機能をNPO法人「市民オフィスやぶ」が受けてから初の「利き酒会」です。その意味で、意義ある一日となりました。法人理事のみなさんも理事長以下7人が参加し受付ほか諸々のお手伝いです。
南但杜氏組合は養父市と朝来市の組合員で構成されています。昭和30年代には100人近くも出稼ぎとして冬の間は杜氏に出かけ、農家の貴重な収入源でした。町役場も故郷の土産を持って激励と慰問の酒蔵訪問をし、町を挙げての支援をしていた時期が思い出されます。今、全国的な組合員減少のなか財政的にも厳しく組織の先行きが不透明な状況で、先般も新温泉・香美杜氏組合が但馬杜氏組合に一本化された新聞報道があったばかりです。杜氏組合員さんの酒造りにかける意欲や情熱には頭の下がるものがあります。そして、その陰には、冬の間、家庭を守られているご家族の大きな協力があります。
19酒造年度の普通酒、吟醸酒の審査には大阪国税局鑑定官があたり、その審査風景の空気が張り詰めたような緊張感を初めて体験させていただき、その専門性・技に感心いたしました。酒も手作りなら利き酒も手作り、という匠あっての日本の文化技術です。
普通酒の部・県知事賞には白鷹、朝来市長賞には昇勢、吟醸酒の部・県産業労働部長賞には梅錦、養父市長賞には香住鶴大吟醸、特別賞・南但杜氏組合長賞には清酒但馬がそれぞれ受賞されました。講評は、全般的に香りもよく、味は淡麗ですっきりしバランスがいい、酒造の努力が伺われる、という言葉でした。
日本酒の消費は減少傾向とあり、焼酎、発泡酒、ビールなど各種アルコールに押されています。要因は、若者の好みの変化、和食の減少、日本人の上下関係の付き合いが地域や職場でも極端数なくなってきたこと、にあるかもしれません。日本酒大好き人間の私にとっては、人を知り・世間を知り・元気をもらい、とお随分お世話にもなり、大切にしたい宝物です。日本の酒文化を守る努力、杜氏組合を守る努力を今後も続けていきたいと思います。