かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

正倉院のしごと

2023年04月09日 | Nara ( Japan )


今日は、ゴルフ。
コンディション最高。
スコアもそこそこ。
この調子で?
桜は終わって、さつきが綺麗。
まだ、4月だけど。



本書も、本屋で見つけた。
興味のある本がどんどん出てくる。

本書の著者は、大学で、美術系の学問で博士号を取った後、正倉院事務所勤務一筋で、定年になったばかりとのこと。
先日六本木で展覧会もあった再現模造の話が中心かと思ったら、ほんの一部で、正倉院宝物の保存に関する総合的な本だった。

切り口としては、正倉院宝物とは何かから始まって、どのように守って来たか、いるか、どのように直してきたか、どのように調べているか、どのように作っているか、どのようにいかしているかなどとなる。
1300年近くのもの間、正倉院宝物が守られてきたのは、基本的には、保存のため専用の正倉院に収められ、一部例外を除いては、ほとんどその中で、人の目に触れないで、眠っていたことによる。
ただ、本書によれば、布や、紙の寿命というのは、大体800年ぐらいで、自然に朽ちていくものという。
だから、正倉院の宝物もそれを防ぐために、さまざまな工夫がほどこされてきたし、今もほどこされている。
不幸にして崩壊してしまったものは、再現・修復すべく、職人たちが取り組んできた。
しかし、その手法は試行錯誤で、時には、宝物を傷めてしまったり、間違った修復をしてしまったり。

基本は、元に戻せるように修復するということという。
そして、現在の技術では難しい場合は、無理をせず、技術の進歩を待つ。
特に、調べるという分野においては、技術の進歩が大きく貢献しているという。
確かに正倉院展に行くと、新たに発見されたことが、誇らしげに説明されている。
調査によって、舶来物と思われたものの内、かなりの物が、国産と判明してきている。

そして、いかにして生かすかという点では、やはり正倉院展の話が中心となる。
定期的に正倉院の中を点検するようになったのは、そう古いことではないが、その機会に公開することも検討されるようになり、実施もされてきた。
ただ、一番の敵である虫や黴の原因になる可能性が高く、また移動時に(もともと脆いため)破損するリスクも大きい。
想定しない壊れ方をすることもあるそうで、なるべく触らず、移動せず、温度・湿度変化させない方が望ましいが、展示する場合、それはどうしても避けられない。
とするとリスクを最小限に抑えて、展示をするしかなく、試行錯誤の上、今の正倉院展の姿になっている。
コロナ以降、入場者数を抑えて、ゆっくり見れると評判もいいそうだ。
宝物に与える悪影響も減少する。
しかし、コロナが明けてまた元に戻ってしまうのか。

筆者は、なるべく移動させずに展示できる独自の宝物館的な施設を持てればベターと考えておられるようだが、これだけの膨大な量の宝物を所蔵・展示する施設となると、なかなか難しいのも現実。
そのジレンマを続ける中で、定年を迎え、これまで考えてきたこと、やってきたことを、総括的に1冊にまとめてあり、ひじょうにわかりやすかった。
毎年正倉院展に足を運んでいる私にとってはなおさらだ。

書かれていることは、極めて真っ当と思われるので、後継者の方々は、本書に書かれていることをベースにさらなる検討を重ねてもらいたいと感じた次第。
高松塚古墳の壁画のようなことは、絶対に避けなければ、ご先祖様に申し訳がたたない。
コメント
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