酢豚のひとりごと

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『アドルフに告ぐ』

2015-06-14 12:53:31 | 演劇


「アドルフに告ぐ」   (於)KAAT 神奈川芸術劇場 ホール

原作:手塚治虫 演出:栗山民也 脚本:木内宏昌 音楽:久米大作
キャスト:成河・松下洸平・高橋洋・朝海ひかる・鶴見辰吾 ほか

先週「アドルフに告ぐ」を見た。原作は漫画であるが、手塚治虫の先見性や大きな世界観が見えるスケールの大きな舞台に圧倒された。

アドルフという名を持つ三人の男の物語。ナチス党員であるドイツ人の父と日本人の母を持ち神戸に住むアドルフ・カウフマン(成河)、そのカウフマンの子供時代の友人でユダヤ人のアドルフ・カミル(松下)、そしてナチスのアドルフ・ヒトラー(高橋)。三人の正義が第二次大戦前後の時代の中で、交錯しながら歴史に押し流されてゆく。背景にある「ヒトラーがユダヤ人の血を引く」という機密文書が物語のポイントになっている。

ヒットラーとカウフマンが同じ場所に登場したり、少年時代友人だった二人のアドルフがイスラエル軍とパレスチナ軍に分かれて戦ったりする漫画チックなところはありながらも、現代の私達が考えなければならない問題も提示している。
この舞台で私は個の問題と組織(例えば国)の問題をどう折り合いをつければいいのだろうかということを一番考えさせられた。

俳優では蜷川演出芝居以来久しぶりに見るヒトラー役の高橋洋、歌と切れのいい演技の少女役小此木まりに注目した。また松井るみの舞台美術も素晴らしい。

横浜は今日6月14日(日)が千秋楽。あと宮崎・京都・刈谷で公演あり。

帰り私の好きな劇団「イキウメ」のOさんが、エスカレーターにのってました。先日『聖地 X』で見たばかり。思い切って声をかけたら快く応対してくれました。なかなか気持ちの良い好青年。「イキウメ」をますます応援したくなりました。