高い買い物になるかもしれない。
処方箋の受取枚数が1,000枚に満たない薬局の売り物件が増えている。
何とも怪しいところから「買いませんか」と電話がかかってくる。
「処方箋枚数が月に800枚で利益は出ているがいかがですか」
聞くと「地域支援体制加算」も「後発医薬品調剤体制加算」も取れていない。
ひょっとすると両方報算定できると「地域支援体制加算」が28万円、後発医薬品調剤体制加算1」14万円で合わせると年間で約500万円になる。
今の利益と併せると十分採算が取れると“取らぬ狸の皮算用”が始まる。
基本的に売り物件に良いものなし。
何か問題が生じているから売りに出す。
特に最近多いのは薬剤師の確保である。
「地域支援体制加算」に課せられた平日8時間、土曜または日曜日の開局などは勤務する1人薬剤師では出来ない。
また現状で「後発医薬品調剤体制加算」が算定できないのは、処方元の医師の意志の固さだ。
これを切り崩すのは至難の業である。
安くても買ってはいけない。
結果として高い買い物になる。
薬剤師の手配に翻弄される。
誰も行きたがらない。
営業力があるのであれば、薬局周辺の高齢者施設の処方箋など獲得するといいかもしれない。
と思うのは甘い。
現場の薬剤師が受けてくれない。
現状が1日30枚前後の処方箋であっても、現場は「もう、いっぱい、いっぱいです」と拒否してくる。
何が「いっぱい」なのか訳が分からない。
特に、この時期はインフルエンザの流行がある。
インフルエンザにり患しても出て来いとは言えない。
さて、どうしたものだか。
小さな薬局の運営は勤務薬剤師では難しい。
薬剤師の定着がないので「地域支援体制加算」の算定が困難である。
薬価の引き下げに伴う薬価差益も圧縮される。
調剤報酬も期待など出来ない。
となると自営じゃないと成り立たない時代が近くまで迫っているような気がする。
自営は十分成り立つ。
何と言っても地域とのつながりは自分が担当している。
地域には年金では成り立たない生活のためにワーキングシニアが増えている。
その働き方を支援するのが薬局だと気付けば地域との絆が出来る。
これこそが真の「地域密着型薬局」じゃないかと思う。
したたかに地域に根ざして行こう。
何があっても地域が味方してくれる。