アニミズム、というと日本でも土着の信仰にも結構ありますよね。
動物、植物、岩や川など、自然界のあらゆるものに霊魂や精霊があり、諸現象を操っている、という原始的な宗教観。
そしてその霊たちと交信してくれるのが、シャーマン。
シャーマニズムは世界各地にありますが、極北の地でもとても一般的です。
日本で言えば巫女さんですね。
でもイヌイットのそれは、北海道のアイヌのそれにとても近い感じがします。
やはり文化的に近いのでしょうか・・・
アイリーン・アヴァーラーキアクさんが製作されたイヌイットの壁掛けも、こういう宗教観をもとにした口承の物語がテーマです。
動物と人間が自由に相互に変身し、人間はシャーマンになろうと修行を積み、失敗しては周りの岩なんかに笑われ・・・・厳しい自然の中なのですが、広い台地で、おおらかに生活を楽しんでいる感じがします。
1枚の中にお話が詰め込まれていて、夜眠りにつく前にその壁掛けを見ながら、子供たちは目を輝かせておばあちゃんの昔話にききいったのだろうな~と思わせます。
アイリーンさんを含め、イヌイットの人は今ではキリスト教に改宗してらっしゃる方が多いですが、実は心の奥底ではまだこのアニミズムを信じていて、「最近では見られないけれど、本当に動物に変身することができたのだ」って思っている人もいらっしゃるとか。
例えばこの絵なんですけれど、夫婦で遊んでいた光景なんですって。
洋服のすそがまっすぐなのは男、すそが垂れ下がっているのが女性だそうです。
夫は遊びで鳥に変身しました。
すると妻は狼になったり、アザラシになったり。(頭が二つ! 足が尾びれになっています。)
空から鳥が降りてきて、二人の遊ぶのを見ています。
顔だけ人間になってみている鳥もいます。それから奇妙な生き物たちも。
周りの岩もいろいろおしゃべりを始めました・・・・
とまあ、こんな感じで、どの作品もちゃんとストーリーがあるんです。
それぞれの作品の横に、日本語で小さな説明がついているのですが、キューレーターのジュディス・ナスビーさんの説明を聞いていると、よく意味が理解できて、とても楽しかったです。
アイリーンさんの少女時代の悲しい記憶・・・飢餓でおなかが空いているときに一人でツンドラにやってきて、食べ物をどうやってとるのか、なんていうものがそれにミックスされています。
パーカーを作った後残ったフェルトを使って作られ始めたというこの壁かけ、針目はとてもおおらかです。
ジグザグミシンのような大きな目のステッチで縁取りし、中の線はだいたいアウトラインステッチか、普通の縫い目。
技法などにはこだわらず、自分の中から湧き出てきた「表現したい」という気持ちを素直に作品にした、というのが伝わってくるのでした。
1月25日発売号の「クロワッサン」にナスビーさんへのインタビューが掲載されます。もしよろしかったらご覧くださいませ。
「アイリーン・アヴァーラーキアク:神話と現実」
ゲルフ大学マクドナルド・スチュアート・アートセンター所蔵イヌイット壁かけ展は、2006年12月12日(火)から 2007年3月9日(金)まで。青山の カナダ大使館高円宮記念ギャラリーにて開催中です。
詳しくはこちらをご覧ください。
(註;このアイリーン・アヴァーラーキアクさんの作品の画像は、カナダ大使館広報部の了解を得てjesterが撮影したもので、すべてのコピーライトはアイリーン・アヴァーラーキアクさん、カナダ大使館、jesterに帰属します。他のサイトへの転載は絶対なさらないでください。)
動物、植物、岩や川など、自然界のあらゆるものに霊魂や精霊があり、諸現象を操っている、という原始的な宗教観。
そしてその霊たちと交信してくれるのが、シャーマン。
シャーマニズムは世界各地にありますが、極北の地でもとても一般的です。
日本で言えば巫女さんですね。
でもイヌイットのそれは、北海道のアイヌのそれにとても近い感じがします。
やはり文化的に近いのでしょうか・・・
アイリーン・アヴァーラーキアクさんが製作されたイヌイットの壁掛けも、こういう宗教観をもとにした口承の物語がテーマです。
動物と人間が自由に相互に変身し、人間はシャーマンになろうと修行を積み、失敗しては周りの岩なんかに笑われ・・・・厳しい自然の中なのですが、広い台地で、おおらかに生活を楽しんでいる感じがします。
1枚の中にお話が詰め込まれていて、夜眠りにつく前にその壁掛けを見ながら、子供たちは目を輝かせておばあちゃんの昔話にききいったのだろうな~と思わせます。
アイリーンさんを含め、イヌイットの人は今ではキリスト教に改宗してらっしゃる方が多いですが、実は心の奥底ではまだこのアニミズムを信じていて、「最近では見られないけれど、本当に動物に変身することができたのだ」って思っている人もいらっしゃるとか。
例えばこの絵なんですけれど、夫婦で遊んでいた光景なんですって。
洋服のすそがまっすぐなのは男、すそが垂れ下がっているのが女性だそうです。
夫は遊びで鳥に変身しました。
すると妻は狼になったり、アザラシになったり。(頭が二つ! 足が尾びれになっています。)
空から鳥が降りてきて、二人の遊ぶのを見ています。
顔だけ人間になってみている鳥もいます。それから奇妙な生き物たちも。
周りの岩もいろいろおしゃべりを始めました・・・・
とまあ、こんな感じで、どの作品もちゃんとストーリーがあるんです。
それぞれの作品の横に、日本語で小さな説明がついているのですが、キューレーターのジュディス・ナスビーさんの説明を聞いていると、よく意味が理解できて、とても楽しかったです。
アイリーンさんの少女時代の悲しい記憶・・・飢餓でおなかが空いているときに一人でツンドラにやってきて、食べ物をどうやってとるのか、なんていうものがそれにミックスされています。
パーカーを作った後残ったフェルトを使って作られ始めたというこの壁かけ、針目はとてもおおらかです。
ジグザグミシンのような大きな目のステッチで縁取りし、中の線はだいたいアウトラインステッチか、普通の縫い目。
技法などにはこだわらず、自分の中から湧き出てきた「表現したい」という気持ちを素直に作品にした、というのが伝わってくるのでした。
1月25日発売号の「クロワッサン」にナスビーさんへのインタビューが掲載されます。もしよろしかったらご覧くださいませ。
「アイリーン・アヴァーラーキアク:神話と現実」
ゲルフ大学マクドナルド・スチュアート・アートセンター所蔵イヌイット壁かけ展は、2006年12月12日(火)から 2007年3月9日(金)まで。青山の カナダ大使館高円宮記念ギャラリーにて開催中です。
詳しくはこちらをご覧ください。
(註;このアイリーン・アヴァーラーキアクさんの作品の画像は、カナダ大使館広報部の了解を得てjesterが撮影したもので、すべてのコピーライトはアイリーン・アヴァーラーキアクさん、カナダ大使館、jesterに帰属します。他のサイトへの転載は絶対なさらないでください。)