火星への道

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合に入ってもいろいろやってます

2013-04-14 16:51:39 | MSL

4月7日から12日にウイーンで開かれた「the European Geosciences Union(EGU) 2013 大会」でCuriosityの調査結果が発表されました。
3月19日のLPSC(Lunar and Planetary Science Conference) に続いてとなります。
現在、火星が合となっており5月1日まで地球と火星間で通信できない状態ですが、DANとREMSそしてRADによる環境測定を継続して行っています。
また、Curiosityチームは、合による通信の中断後にドリルを使用する場所の協議を続けています。
太陽の後ろから火星が顔を出してくるのが待ちどうしいですね!
そして、その後は、新しくドリルを使用する場所に向かうこととなります。

EGUで新しい情報の発表がありましたのでメモします。
1.SAM/アルゴンの同位体比がかなり精度良く測定されました。
下図を見ますと、比較として、右側の枠には、1976年のVikingによる測定値、地球の値、火星から来たと推定される隕石の値が示されています。
左の枠には、太陽と木星でのアルゴンの同位体比が示されています。
太陽と木星の値に比べて、今回のSAMによる測定値は、かなり低いことがわかります。
このことから、火星では大気中から分子量の軽いアルゴンが多く失われていることが確認でき、火星からの大気の散逸が証明されたことになります。 

 2.SAM/"John Klein"からドリルによって採取された岩石粉末サンプルの4回目の分析結果
サンプルを加熱することで分離されたガスを四重極質量分析計(QMS)で測定しました。
下図の通り水を初めとしていくつかのガスが測定された結果、サンプル中に含水鉱物、炭酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩および硫化物および粘土が含まれていることが分かりました。
 

3.ChemCam/レーザーによる岩石表面からのダスト除去の様子。
下図は、Sol84(2012年10月31日)にChemCamのRMI(Remote Micro-Imager)で撮影されたものです。
"Rocknest_3."でレーザーを300回発射した時の前後の画像です。
それぞれの対角線が7cm。右の画像で縦に見える線は、レーザーによってダストが除去された跡で幅が7mmです。
対象の岩石表面とレーザーとの接触範囲は、0.5mmですが、レーザーの衝撃波によって広範囲にダストが除去されています。
火星表面は、ダストで覆われていますので、レーザーは、その表面下を探るために有効な機能です。


 

4.ChemCam/LIBS(Laser-Induced Breakdown Spectrometer)での分析結果
ChemCamは、レーザーの当たるたびにレーザーによって分解された成分をLIBSで分析することが出来ます。 
下図は、 Sol27(2012年9月2日)にCuriosityに搭載されているテスト用の黒鉛をレーザーで50回打った結果です。
1回目と50回目ののショットによる分析結果を比較できます。 
1回目のショットは、表面のダストの成分が測定されています。50回目のショットでは、黒鉛その物を測定していることになります。
サンプル表面は、レーザーに打たれるたびに表面が蒸発して下層が出てくるのでサンプルの垂直方向での成分変化を確認できるわけです。 

5.ChemCam/Sol100間で岩石と土とダストを測定した結果
*Sol100間=2012年8月5日~2013年11月16日。
下図は、縦軸がアルカリ、横軸が水素です。
岩石は、幅広いアルカリ含有を示していますが、水素の含有は、全て低い値です。
土は、粗い土と細かな土とで異なっています。 
ダストは、アルカリが低く、水素が多いことが分かります。
粗い土は、Galeクレーターの北側の縁の Peace Vallisからの扇状地に堆積した岩の欠片から出来ていると思われます。
細かい土は、 "Rocknest"でCuriosityがサンプル採取した風の影響を受けた堆積物のように風性の影響を受けた湖床等で主として見つかる物質です。
アルカリの低い細かな土とダストは、組成が似ています。 

 

6.REMS/気圧の測定結果。
2012年8月中旬から2013年2月末までの毎Solでの最高・最低気圧を測定しています。
下図の測定開始時は、南半球の晩冬で、終了時は、春の終わり頃に相当します。
南極が暖かくなることで大量のドライアイス(二酸化炭素)が気化しているために気圧が上昇している様子が分かります。
この後、今度は、北極にドライアイスが積もり始め、気圧が低下します。
この効果で大気が30%程度増減するということです。

7.REMS/気温・地表温度の測定結果。
上記の気圧測定と同時期のデーターです。
下図の上のグラフは、Curiosityの周囲の気温を測定しており、下のグラフは、地表温度の測定結果です。
気温は、ほぼ安定した結果ですが、地表温度は、Sol120で変化を示しています。
地表の性質の違いを反映したものです。
軌道上からの赤外線計測からも予測されていた高熱慣性(ゆっくり冷え、ゆっくり暖まる)を持った地域に入ったためです。
この地域は、土や砂よりも露頭が多く見られるためだと思われます。 

8.REMS/旋風の検知
REMSの圧力センサーと紫外線センサーで微妙な変化を捕らえることで旋風を検知しています。
下図の左上が圧力センサー、左下が紫外線センサーによる測定結果です。
右上は、Pathfinder、PhoenixとCuriosityでの気圧低下度と発生頻度の棒グラフです。
各々違う場所に着陸しましたが、似たような圧力変化の発生頻度であったと言うことです。
右下は、気圧変化時の風センサーが示した挙動を示しています。

Galeクレーター内部では、ダストデビルの通り道はないとのことですが、旋風は結構発生しているようです。

9.REMS/湿度は低いが、変動する。
着陸地点からRocknestそしてGlenelgへと異なった地域毎の相対湿度を測定しました。

記事では、地球と比べて相対湿度が非常に低いとしか記載がありませんが、大きな変化がありますので何らかの説明が欲しいところですね。
Curiosityが通った地質による変化のようですが・・・

コメント
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