柄目木庵

良寛さまに思いをよせながら。

衛星通信への工夫

2006年01月17日 | アマチュア無線
 我が家の例のグランドプレーン・アンテナ(50,144,430MHz)は、タワーの10mくらいの高さのところに設置してある。

 そのアンテナが最近、風雪の影響で垂直の状態から水平になっていた。
その水平状態が意外と衛星通信(Via VO-52)によかったのである。
ところが最近だんだんと受信シグナルも弱くなり、ほとんどQSOできなくなってきた。外に出て見上げるとアンテナは先端部を下に下げ始めて、水平状態からさらに30度くらい傾いてしまっていた。
春になってタワーに上れるまで待つより仕方ないようである。

 ところで、自分のダウンリンクを見つけることは、だんだん経験的に慣れてきて以前よりはうまくなってきていた。また、見失ってもすぐに再発見できるようにはなってきていた。
 しかし、この周波数関係はコンピュータ制御で、ラクチン運用が出来るように「ソフトとハード」がすでに存在する。簡単なハードというが僕の実力では,おいそれと言うわけにはいかない。

 そこで、送信周波数固定(435.250MHz)でシミュレーションしてみた。
その結果、
衛星が近づくとき
衛星が受け取る電波はドップラー効果で約10kHzプラスで435.260MHz。
それが衛星で2m帯に(逆ヘテロダイン)変換されて145.890MHzでこちらにやってくる。
当然ドーップラー・シフトがあり約3.5kHzプラスとなり145.893.5MHzとなって地上の我が家で受信できることになる。
 このようにして、衛星が地平線上に現れて(AOS)、しばらくはこの周波数近辺で聞こえることになる。

 衛星が頭上近く(Max.EL)を通過する前後で受信周波数は大きく高い方に13kHzくらい変化する。
手動での運用がかなり難しい時間となる。

 衛星が遠ざかるとき
衛星が地上から消える(LOS)までについてもドップラー・シフトを計算した。
詳しいことを避けるなら、衛星からの電波は145.906.5MHz近辺で聞こえてくることになる。

 このようなわけで、事前に送信周波数固定を
435.235MHzから435.265MHzまでを1kHzごとに、
そのときのAOS、Max.EL、LOS に対応する受信周波数を見やすい一覧表とした。

 昨晩は検証をかねて、435.260MHz送信、対応する145.884MHzでワッチ。
衛星が現れて、トトトを打つと聞こえるではないか。我がダウンリンクが。
衛星のMax.ELを過ぎて、これまた145.897に移りワッチ。聞こえた!

 ダウンリンクがこのようにうまくキャッチできることが、衛星通信の第一歩でもある。
高度の低いVO-52のような衛星は一回のパスが長くて10分ちょっと。
比較的周波数変化の少ない、AOSの後、LOSの前がタイミング的にはGoodのようである。

 ただ、いかんせんプアーなアンテナには泣ける!なかなかQSOできない。
しかし、今はエネルギーを蓄えておこう。
送信固定はCQを出して呼んでいただくには、とても都合がいい。
しかし、CQを出している局を呼ぶときの工夫がこれからの課題かな?と思っている。

 冬の夜をこのように楽しみながら過ごしました。
お立ち寄りいただいた方で、この衛星通信のことでいろいろと教えていただける方がおられましたら、ぜひよろしくお願いいたします。

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2 コメント

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衛星通信 vs EME (信濃池田送信所)
2006-01-17 16:51:53
ドップラーシフト



衛星ってそんなにドップラーシフトがあるんですね、初めて知りました。

考えてみれば速度が速いのでシフトも大きいのでしょうけれども。

 手前みそで失礼ですが、EMEと全く異なるのは、ドップラーの最大と

なる位置は、月の出の+と、入りの-です。

 144で最大330Hz、430MHzで最大1kHz、1200MHzで3KHzずれます。

少ないように思われますが、CWのナローフィルターの運用ですから結構

相手にあわせるには苦労が伴います。

 今はそうでもないですが、昔の旧東ヨーロッパからの共産圏、ロシア

などは酷いものでした。 1KHzずれて平気で呼んでくるくらいでしたから

ドップラーの比ではありません、そこに行くと先進国と呼ばれる国は

ドンピシャで返してきますので、腕もさることながら設備性能の優秀

さを垣間見ることができました。



反面ドップラーシフトがない場所は月が南中にいるときで、送信した

周波数がそのままの周波数で帰ってきます。



当初電算機からの結果を頼りに補正していましたが、相手がアバウト

だと解ると月がこの位置ならこのくらいで・・と体で覚えるように

やっとなったばかりです。





 また、衛星のように月は360度回りませんので、アンテナは東北東~

南~西北西の方向、エレべーションは0-80度の可変範囲があれば他

の角度は必要ありません。

しかも10分間のウインドとなるとQSOもそこそこに、ドップラー、

アンテナの各補正は大変なことと思います、どうなんでしょうか?

すべて、右手、左手と口、目が独立して動いているのでしょうか?





 さらに、EMEの場合、電離層を通過するときに、単一偏波だと向

きが変わり、月に跳ね返って地上に戻るときに、90度ずれて帰って

くると、全く聞こえなくなる現象があります。

 裕福局だと別偏波のアンテナで「クロス型で円偏派ではなく垂直、

水平と独立しているタイプ」受信しどのような条件下でも必ず自分の

エコーが帰ってくる。あるいはコンテストの時などは状況を把握して、

相手のアンテナにもっとも強くなる偏波、かつ自分にもっとも聞こえる

偏波をリレーで切り替えて運用している局がいますし、430MHzとなると

8mクラスのデッシュにアクチュエーターを用いて機械的に切り替えてい

る局が国内に数局います。

 偏波が変わらず帰ってくるならば絶対に自信ある当局の空中線も

自然現象には全く歯が立たず、コンテスト中などは可変偏波局が

悠々とQSOしているのを指をくわえて聞いたことが数え切れません。



 1200MHz以上だと、はじめから円偏派で運用することが世界的に

慣わしとなっているのでこのようなことがないのですが、衛星通信

でも同様なことがあるのでしょうか?



 最後に宣伝で恐縮ですが、最近EMEでもJT65というデジタルモードが出現しまして、50W+2ヤギでもEMEができるようになりました。優秀な設備をお持ちのようですから、是非挑戦されてください。





添付は南極での受信音、AO-10もやったと書いてありますが・・・

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TKS fer FB coment. (JA0AAQ/羽入)
2006-01-18 17:11:52
 矢口さん、EMEは究極のDXです。すごいな!

シグナルはソフトによる処理で浮かび上がる(読み取れる)のでしょうか。



 今回は軌道計算ソフトから430,144のドップラーシフトの最大値を読んで利用しました。したがってアバウトな結果ですが、意外と具合がいいようです。

 実は計算ソフトは、このような計算を時々刻々と内部的に行って、そのデータをもとにTRXの周波数をコントロールできるようになっています。

ただ、現段階で僕のほうでそのインターフェースが製作(準備)できないだけです。

マイペースですが、勉強しながら楽しんでいくつもりです。

よろしくね。

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