毎日新聞 2012年1月20日 東京夕刊
◇長老の人生と道具に触れる
明星大学(東京都日野市)教育学部教育学科の特別公開授業、「アイヌ民族の歴史と文化を学ぶ」が昨年12月6日、同大で行われた。「日本の先住民族であるアイヌの人々について、これから教員になる学生たちに知ってほしい」と、先住民族、文化再生に詳しい茅野佳子教授の呼びかけで10年に始まった授業だ。学生たちは昨年9月からアイヌの歴史や文化について学び、学外のイベントにも参加してきた。
今年度2回目の公開授業である今回。アイヌ文様の伝統的な衣装に身を包んだエカシ(長老)、浦川治造さん(73)がゲスト講師を務めた。
「僕が子供の頃、北海道には湿地帯があって、たくさんの花が咲いていた。朝早く出かけていくと、花にのった朝露が大粒の宝石のように輝いたものだ」。北海道の大自然と奔放に触れ合う自らのエピソードを写真とともに語っていく。
彼は1938年、北海道浦河町でわずかに残っていたアイヌ集落で生まれ、伝統的な文化や技術を生活の中で身につけながら育った。「サケや熊、自然からとれる食べ物は何でもカムイ(神様)が贈ってくれたもの。生まれ変わってもアイヌにとられたい、と思われるように大切に扱い、無駄にはしない」
浦川さんはカムイノミ(アイヌの儀式)に使う道具や、サケの皮をはぎとって作った靴を取り出し、学生たちに触れさせる。手触りを確かめたり、臭いをかいでみたり、学生たちは思い思いの方法でアイヌ文化に向き合っていた。
「勉強だけでなくいろんな体験をして、それを自分の子供にも与えてほしい。きっと心も体も大きく育つ」。浦川さんは最後にこう講義を締めくくった。「アイヌ文化に、史実だけではなく道具に直接触れることができて感動した」と女子学生は満足げに語った。【自由学園・柴谷裕亮、写真は首都大学東京・石尾奈月】
http://mainichi.jp/life/edu/news/20120120dde012070082000c.html
◇長老の人生と道具に触れる
明星大学(東京都日野市)教育学部教育学科の特別公開授業、「アイヌ民族の歴史と文化を学ぶ」が昨年12月6日、同大で行われた。「日本の先住民族であるアイヌの人々について、これから教員になる学生たちに知ってほしい」と、先住民族、文化再生に詳しい茅野佳子教授の呼びかけで10年に始まった授業だ。学生たちは昨年9月からアイヌの歴史や文化について学び、学外のイベントにも参加してきた。
今年度2回目の公開授業である今回。アイヌ文様の伝統的な衣装に身を包んだエカシ(長老)、浦川治造さん(73)がゲスト講師を務めた。
「僕が子供の頃、北海道には湿地帯があって、たくさんの花が咲いていた。朝早く出かけていくと、花にのった朝露が大粒の宝石のように輝いたものだ」。北海道の大自然と奔放に触れ合う自らのエピソードを写真とともに語っていく。
彼は1938年、北海道浦河町でわずかに残っていたアイヌ集落で生まれ、伝統的な文化や技術を生活の中で身につけながら育った。「サケや熊、自然からとれる食べ物は何でもカムイ(神様)が贈ってくれたもの。生まれ変わってもアイヌにとられたい、と思われるように大切に扱い、無駄にはしない」
浦川さんはカムイノミ(アイヌの儀式)に使う道具や、サケの皮をはぎとって作った靴を取り出し、学生たちに触れさせる。手触りを確かめたり、臭いをかいでみたり、学生たちは思い思いの方法でアイヌ文化に向き合っていた。
「勉強だけでなくいろんな体験をして、それを自分の子供にも与えてほしい。きっと心も体も大きく育つ」。浦川さんは最後にこう講義を締めくくった。「アイヌ文化に、史実だけではなく道具に直接触れることができて感動した」と女子学生は満足げに語った。【自由学園・柴谷裕亮、写真は首都大学東京・石尾奈月】
http://mainichi.jp/life/edu/news/20120120dde012070082000c.html