京都新聞2024年6月24日 10:00 衣川千尋
アイヌの伝統的な文化について語る宇梶さん(京都市下京区・しんらん交流館)
アイヌ民族の歴史や文化をテーマにした講演会「自然と共生そしてこれからのアイヌ」が23日、京都市下京区のしんらん交流館であった。アイヌ文化伝承者で詩人の宇梶静江さん(91)が登壇し、「大地に感謝し、助け合いながら生きるアイヌの文化や生き方を知って、平和な世の中をつくってほしい」と話した。
自然とともに生きてきたアイヌ民族の精神性を知ってもらおうと、アイヌ文化の会(左京区)が主催した。伝統的な刺しゅうの技法を生かした「古布絵」や詩を通して、アイヌ民族の復興活動に力を注いできた宇梶さんを講師として招いた。
宇梶さんはアイヌの伝統的な衣装をまとって登壇。アイヌ民族は火や水、動物などを大自然に宿るカムイ(神々)として敬い、感謝をして真摯(しんし)に生きてきたとし、「自然とともに生きる豊かで丁寧な生活があった」と話した。
また、「アイヌは日本で最も差別を受けてきた民族だ」と説明。容姿や文化によって差別されてきた自らの体験を交えながら、「アイヌは自分を出せない社会で生きることを強いられてきた。失われた風習を取り戻すために、アイヌの声に耳を傾けてほしい」と訴えた。