2024.08.31日高報知新聞
二風谷イタの制作技術を学ぶ(左から)イヤス・シリヤさん、進藤さん、講師の洲崎さん、高橋さん、藤原さん
【平取】アイヌ民族文化財団(札幌)の伝承者育成事業「夜間型イタ」コースの開講式が20日、平取アイヌ工芸伝承館「ウレシパ」で行われた。
同事業は、アイヌの高度な知識や技能を身につけ、アイヌ文化を支える人材を育成するもの。
開講式でアイヌ文化振興公社取締役の貝澤守さんは「工芸技術を習いしっかり身につけてほしい」とあいさつ。
夜間型には「二風谷アットゥシ(樹皮の反物)」コース2年間(1年目反物づくり・2年目織り上げた反物で着物を作る)と「二風谷イタ」コース(半年)がある。
イタコースは週1回全24回の日程で来年2月中頃まで行われる。今年度は4人が受講。講師の洲崎春男さんは「かなり高度なテクニックを要する。刃物を使うので怪我だけはしないよう気をつけてほしい。ノミの切れ味が良くないと上手く削れない、研ぎ方のこつを覚えて取り組んでほしい。模様も博物館などでよく見て考えてもらい、素晴らしい作品を作ってほしい」とエールを送った。
受講生のイヤス・シリヤさん(42)は北大文学院言語学研究室(博士後期課程)に席を置き、二風谷で研修中。「社会言語学は、料理、歌、木彫、刺しゅう、アイヌ語など多方面から知ることが大切。自分は木版画をやっているので、イタとどのように違うのか、文様もアイヌ民族独特のものがあるので、研修ばかりでなく個人的な楽しみでも挑戦した」、工芸館勤務の進藤千賀子さん(52)は、「夜間のアットゥシコース2年を修了したが今回のイタコースも昔からやってみたかった。工芸館では木彫り体験などもあるのでサポートできるのではと思う」、京都から1年ほど前に移住し、アイヌ文化振興公社に勤務している高橋亜紗子さん(42)は「京都にいる時からアイヌ文化に興味がありいろいろ調べていた。このコースを活用しアイヌ文化をより知る体験となることを願っている」、藤原沙也加さん(36)は札幌から毎週通うといい、「アイヌ文化に興味を持つようになりあちこち巡った。工芸家の貝沢徹さんの作品を見て心に響くものがあり習ってみたいと思った」とそれぞれ話した。