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<興味深人 インタビュー>アイヌ民族の繊細な音守る 釧路でムックリ作り半世紀・鈴木紀美代さん

2024-09-02 | アイヌ民族関連

市村信子 会員限定記事

北海道新聞2024年9月1日 4:00

すずき・きみよ 1947年、釧路管内標茶町生まれ。釧路市立春採中卒。父の故秋辺福太郎さんのムックリ製作を71年から手伝う。88年に独立。2001年に道ムックリ演奏大会で優勝し、02年以降、国際口琴大会に5度出場。11年には製作部門で最優秀賞受賞。19年に写真集「父からの伝言」(藤田印刷エクセレントブックス)を発刊した。同年、文化庁長官表彰を受賞。工房「ムックリの鈴木」代表。

 ビヨーン、ビヨーン。独特の繊細な音を響かせるアイヌ民族の口琴ムックリ。国立アイヌ民族博物館(胆振管内白老町)や、土産物店で販売されているものの大半は、釧路市在住の鈴木紀美代さん(77)が手がけた作品だ。マキリ(小刀)で一本一本竹を削っていく作業を、けが一つなく半世紀続けて来られたのは、祖父母や父母、高校生で亡くなった娘が「守ってきてくれたおかげだと思う」と話す。

■娘の死乗り越え活動 今後は普及に注力

 ――祖父の秋辺福治さんは、釧路市春採のエカシ(長老)だったのですね。

 「祖父の家に親族が集まると、祖父は決まって炉をたたき、『さぁ、みんな踊れ』と音頭を取りました。祖母は孫たちに手取り足取り踊り方を教えてくれる。とても楽しかったのを覚えています。6歳のころ、祖母がホウキの柄を使ってムックリを作るのも見ました。『さぁて、何ができるかな?』と言いながら、柄を削っていくんです。できるまでとてもワクワクして、音を聴いてさらに感動しました」

 ――実家の暮らしぶりは、厳しかったそうですね。

 「父(秋辺福太郎さん)はアイヌ古式舞踊の名手と言われ、全国各地に招かれて舞踊を披露しました。でもそれは、お金にはならないんですね。普段は木彫工芸をしていて、生活は苦しかった。私は7人きょうだいの一番上。小学生の頃からズリ山(石炭採掘の際に出た石などを積み上げてできる山)で石炭拾いをしたり、北見の商店へ奉公に行ったりしました。きつかったです。中学卒業後は地元の印刷会社や料理店で働き、20歳で結婚した後も、父の作品を磨いたり、袋詰めする作業を手伝ったりしました」

 ――ムックリを作り始めたきっかけは。

 「父が『これからはムックリが売れるかもしれない』と力を入れ始めたので、自然に手伝うようになりました。最初は実家の家計を助けるためだったんですけど、だんだん面白くなり、『いい音が出るものを作りたい』と思うようになりました。父にこつを聞いても『ムックリに聞け』としか教えてもらえなくて、仕方なく自分で工夫しました」

 ・・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1057239/

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