北海道新聞 01/11 21:06 更新
アイヌ民族の権利回復運動に取り組んだ故・計良(けいら)智子さん(享年68)が生前、北海道新聞で連載し、出版された本「アイヌの四季―フチの伝えるこころ」(1995年、明石書店)の英訳併記版がこの冬、出版された。四季折々の食事からアイヌ民族の生活の知恵や精神性を伝えた1冊で、計良さんの旧友らが約4年かけて翻訳した。
英訳は、札幌市に住んでいた計良さんの20年来の友人で、外国人支援のボランティアなどに取り組んでいる同市の吉田三千代さん(69)が中心となり進めてきた。2014年に計良さんの夫の光範さんから翻訳を依頼されたものの、がんで闘病中だった光範さんはその3カ月後に他界。計良さんも同じくがんで16年に亡くなった。
「2人との約束を果たしたい」と計良さんの死後、語学に詳しい知人らに声をかけ、本格的に作業を始めた。監修は、アイヌ文化に詳しい北大大学院教育学研究院のジェフ・ゲーマン准教授に依頼。書名は「THE SPIRIT of HUCI Four Seasons of an Ainu Woman(フチの伝えるこころ―アイヌの女の四季)」とした。
英訳の基となった「アイヌの四季―フチの伝えるこころ」は、計良さんが静内町(現・日高管内新ひだか町)のフチ(おばあさん)の家に1年間住み込んだ経験を基に、伝統料理のレシピやフチたちとの思い出を書き記した。「単に英訳するのではなく、智子さんが伝えたかった思いを重視した」と吉田さん。その分、表現の方法などに迷い、「彼女がいてくれたらと何度も思った」と振り返る。
英訳併記版は、アイヌ民族文化財団の助成による非売本として昨年11月末に完成し、道内の図書館などに寄贈された。その後、同12月に寿郎社(札幌)が市販本として発売。吉田さんは「海外の方々がアイヌ民族について知る入り口のような1冊になれば」と願う。
B5判208ページ。2500円(税別)。道内外の主要書店などで購入できる。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/266159
アイヌ民族の権利回復運動に取り組んだ故・計良(けいら)智子さん(享年68)が生前、北海道新聞で連載し、出版された本「アイヌの四季―フチの伝えるこころ」(1995年、明石書店)の英訳併記版がこの冬、出版された。四季折々の食事からアイヌ民族の生活の知恵や精神性を伝えた1冊で、計良さんの旧友らが約4年かけて翻訳した。
英訳は、札幌市に住んでいた計良さんの20年来の友人で、外国人支援のボランティアなどに取り組んでいる同市の吉田三千代さん(69)が中心となり進めてきた。2014年に計良さんの夫の光範さんから翻訳を依頼されたものの、がんで闘病中だった光範さんはその3カ月後に他界。計良さんも同じくがんで16年に亡くなった。
「2人との約束を果たしたい」と計良さんの死後、語学に詳しい知人らに声をかけ、本格的に作業を始めた。監修は、アイヌ文化に詳しい北大大学院教育学研究院のジェフ・ゲーマン准教授に依頼。書名は「THE SPIRIT of HUCI Four Seasons of an Ainu Woman(フチの伝えるこころ―アイヌの女の四季)」とした。
英訳の基となった「アイヌの四季―フチの伝えるこころ」は、計良さんが静内町(現・日高管内新ひだか町)のフチ(おばあさん)の家に1年間住み込んだ経験を基に、伝統料理のレシピやフチたちとの思い出を書き記した。「単に英訳するのではなく、智子さんが伝えたかった思いを重視した」と吉田さん。その分、表現の方法などに迷い、「彼女がいてくれたらと何度も思った」と振り返る。
英訳併記版は、アイヌ民族文化財団の助成による非売本として昨年11月末に完成し、道内の図書館などに寄贈された。その後、同12月に寿郎社(札幌)が市販本として発売。吉田さんは「海外の方々がアイヌ民族について知る入り口のような1冊になれば」と願う。
B5判208ページ。2500円(税別)。道内外の主要書店などで購入できる。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/266159