昨日、あるお客さんから聞きなれない言葉を聞きました。
店内にあるルースケースの中にあったサファイアを見て、「このルースにはカラーバンドが見えますね!」と言って、そのサファイアを購入されました。
私は、何の事やら、わからず、そのルースを良く見ると、確かにブルーの筋のようなものが見えました。カラーバンドとはその筋の事を指しており、どうもそれは、サファイアの結晶成長の際の成長痕の事のようでした。
サファイアには成長痕の累帯構造が現れるものがありますが、宝石用語では、それをカラーバンドと言うらしいのです。
そのお客さんは、そのカラーバンドがお好きらしく、水晶でも複数のファントムが入ったものがお好みだそうで、そこに鉱物結晶の美を感じるようでした。
その感覚は、私も共感するところがあります。ただ、店にあったサファイアのルースにもそのようなカラーバンドが入っていたとは知りませんでした。
私は、まだ出していなかったゴールドシーンサファイアのルースを奥から取り出して、それを見せました。それには金色の六角形の累帯構造が現れておりました。そのお客さんは、それを欲しがりましたので、安価な価格でお譲りしました。同じような価値観を共有していたからです。
宝石のカラーバンドではありませんが、ファントム水晶以外にもジルコンや柘榴石や蛍石などの鉱物の中にも結晶成長痕の累帯構造が現れているものがあります。
そうそう、久美浜のそろばん玉石の中には、非常にわかり易い状態で累帯構造が出ているものがあります。
上の写真がそれです。
まるで、玉ねぎの皮のような感じですが、玉ねぎが内側から外側へ成長するのに対して、そろばん玉石の結晶成長のメカニズムは外側の内壁から内側へと成長するのでしょうか?何となく不思議な感じがします。
それは、カラーバンドとは違うような気もします。・・・?
いずれにせよ、今回は宝石用語のカラーバンドという新しい言葉を覚えてしまいました。