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鉱物の部屋へのいざない

新鉱物3

2016-02-14 15:47:54 | 日記・エッセイ・コラム
小説「斜方晶系」のストーリーに直方晶系(小説では斜方晶系)の新鉱物が登場しました。今日は「新鉱物3」とします。(過去に「新鉱物」2012.05.06、「新鉱物2」2013.04.04というタイトルを使っておりました。)

「新鉱物」と言うと、鉱物好きにとっては新しい鉱物と言う意味で何となく魅力的な響きを感じられる気になる存在だと思います。ただ、それはその意味する新しい鉱物と言うよりも、古くから自然界に存在しながら、人の世界、特に鉱物学的な世界で初めて独立種と承認されたと言う意味での「新」という文字が付加された「鉱物」であって、何も特段新しい訳ではありません。それはただ学問的に知らなかっただけの事であります。自然界にはまだまだ未知の鉱物は沢山あるはずだと思います。「新鉱物」だからと言って、それほど有難がる存在ではないと思います。実際、それらは肉眼的な見た目に魅力的なものは少なく、結晶美を愛でるという観点からはそれほど面白いものは少ないと言えます。

それでも、私のようなアマチュア鉱物愛好家にとっては「新鉱物」という存在は縁遠い存在で、それを発見するという機会はなかなか得る事が出来ない事なので、無視する事もできない存在だとも言えます。

そのような「新鉱物」は日本産でも多くのものが出てきておりますが、残念ながら石川県産の「新鉱物」はまだありません。(富山県、福井県もありませんので北陸3県には無い事になっております。)

石川県産でも「新鉱物」の発見を期待したいところですが、はたしでどうなのでしょうか?

ところで、「長手石」の存在を忘れてはなりません。「長手石」とは1931年に飯盛里安、吉村恂、畑晋の三氏が発表した新鉱物だったはずですが、「日本産の新鉱物」には出て来ません。それはどうしてなのか?少し調べてみました。

すると、日本で最初に新鉱物として承認されたのは轟石(1934年)で、「長手石」の発表よりも後です。新鉱物となるには学会による承認が必要なのです。因みに石川石は1922年に福島県石川郡で産出の報告がありましたが、独立した鉱物種として認められたのは1999年になってからでした。また、当初は独立種として報告されたものの、その後に否定されたものも多数あるそうで、どうも「長手石」もその中のひとつだった可能性が大です。

どうりで「長手石」は鉱物の本には出ていませんし、これまでに標本としても見た事がありませんでした。私はそれほど放射鉱物に興味がある訳ではなかったので、「長手石」の産地が石川県羽咋市長手島という比較的近い場所にあるはずの産地にもかかわらず、これまでそこに行った事がなかったのは関心が薄かったからなのかもしれません。

「新鉱物」、特に肉眼的に結晶を愛でる事のできる石川県産の「新鉱物」の登場を期待したいところです。






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