今朝のNHKニュースでヒッグス粒子の存在確認の話題をやっておりました。
ヒッグス粒子とは何の関係もありませんが、粒子の粒、今日は「球体4」として粒の話題にします。
鉱物の世界でも球体状の形態をとる粒があります。
有名な立山温泉新湯のオパールは売却済みで写真が撮れません。代わりに今、店にあるものの写真です。
秋田県湯沢市秋の宮荒場 産のオパール(魚卵状珪石)
鹿児島県姶良郡牧園町三体堂 産のオパール(魚卵状珪石)
両方とも立山温泉新湯のオパールほどの透明度はなく白い色をしております。これらは球体状の粒で魚の卵のように見える事から魚卵状珪石と呼ばれています。いずれも温泉の沈殿物として産出するもので、温泉に含まれる珪酸分が集まったものです。
この魚卵状珪石はなぜか不思議に粒のサイズが揃っており、それもくっつかず、きれいに分離しています。
立山温泉新湯のオパールに関しては調査報告書(2007年)があり、その中で面白い事が書いてありました。どう面白いかと言うと、鉱物生成の時間の事で、地質学的には鉱物の形成には何百万年かかっているとの認識が一般的なのですが、実は数十年単位の速度で形成されている、という事です。
確かに100万年前の地層に産する鉱物が100万年かかって成長した証拠はなく、温度などの成長条件が100万年一定の値を保つ方が難しいと思います。鉱物はかなり短時間で形成された後、長い時間保存されていると考えた方が自然です。
岩石・鉱物の年代測定には放射性同位元素による年代測定法があり、科学的な計測は可能になっておりますが、個別の鉱物結晶の生成時間に関してはまだまだ未知の領域です。
長野県下諏訪町東俣 産のクリストバル石
もうひとつ面白い粒状の鉱物です。この白い球体状の鉱物は粒々状の集合体で球体になっています。クリストバル石は二酸化珪素の結晶多形のひとつで石英の高温結晶形です。母岩部分は黒曜石で、溶けたガラス状の黒曜石の中に埋もれていたのだろうと予想されます。
二酸化珪素には色んな種類があり、それらの成因も考えると非常に奥深いものを感じます。そして、その代表格はやはり水晶なのだろうと思います。
粒状の鉱物は地球上だけではなく、火星でも発見されています。2004年に火星探査車オポチュニティーが送ってきた画像の中に球体状の「ブルーベリー」が写っていた事は記憶に新しいと思います。いつかそのサンプルも欲しいものですが、その値段はいくら位になるのでしょうか?
最後に「粒の世界あれこれ」(日刊工業新聞社 2001)という本の事を少々。この本は日本紛体工業技術協会 造粒分科会が創立30周年を記念して出版した本です。様々な粒の写真が解説付きで載っております。鉱物の本ではありませんが、球体好きにはたまらないマニアックな本です。10年前の古い本ですが、古本市場ではまだ入手可能な本です。
球体の話題も少々マニアックになってきました。明日からは話題を変えます。