昨日はシブサワ・コレクションであるトスカナ石の事にふれましたが、その石についてもう少し書き足します。
私は10数年前に澁澤龍彦展の展示物の中で、その楕円形の小さな石を見ました。昨日の写真の石はちょうどそれと同じ頃の新宿ショーでイタリア人のディーラーから購入したものです。シブサワ・コレクションのトスカナ石は「澁澤龍彦事典」(コロナブックス)という本に拡大写真が載っています。実物は昨日の写真の石と同じサイズの小さな石です。
澁澤龍彦さんの「イタリアの夢魔」という本の中の「パドヴァの石屋」というエッセイに、その石を買った時の事が克明に書いてあります。パドヴァの街を歩いていて石の店を見つけて「石といっても宝石細工なんかではなく、むしろ鉱物といったほうがよいような、いろんな種類の原石や結晶体である。化石もある。科学博物館の陳列室みたいで、私はこういう雰囲気が大好きだから、眺めているだけでも楽しいのである。」と書いてあります。そして最後の方で「それにしても日本に、パドヴァの石屋のような雰囲気の店がまったくないのは、どういうわけだろうかと私は考えざるをえない。」とも書いてあります。
私は長年の夢であった鉱物標本店を開いたのですが、昨日「パドヴァの石屋」を読み直して、澁澤龍彦さんのようなお客さんのニーズに答えられるような石屋を目指していたことを再認識しました。
今日の話題は「石が描く」です。
?ドイツ ゾルンホーヘン産 デンドライト(シノブ石)
この写真はデンドライトです。模様に見える黒い部分はマンガンの成分が水溶液の形で浸透し、その後、再結晶して樹枝状のインクルージョンを生成したものです。この標本は中国人の芸術家 蔡國強氏の作品を彷彿します。まるで火薬の爆発による絵画のようにも見えます。
このデンドライトの入った水晶は人気がある石で、デンドリチック・クォーツといい、ものによってはかなり高価なものもあります。水晶の他にはアゲートやジャスパーのものもあり、欧米ではコレクターも多いと聞きます。
そういえば、もう間もなく「不思議で美しい石の図鑑」(山田英春著)が発売されます。2月9日発行予定なので待ち遠しいです。
行って、見て、感動した。すばらしい年でした
僕にとって石の華さんはまさにパドヴァの石屋です!
石に齧られてからこんなお店ができるのを待っておりました
鉱物のもつ不思議な姿や色や文様には人知の及ばないアートの世界を感じます
あまり良いお客さんではありませんが自然の神秘を感じにまた遊びに行きますね(笑)
いつでも遊びに来て下さい。
すでにお客さんどうしでも繋がって行っています。
目指すは古書店のような店であり、同時にマニアが集まるサロンのような店です。
今後とも宜しくお願い申し上げます。