NHKのBSプレミアムの「コズミック フロント」は良く見る番組なのですが、先週の「ロスト・クレーター 79万年前の天体衝突」は非常に興味深く面白かったと思いました。
それは、これまでテクタイトと言われていたオーストラリア・アジア テクタイトの起源となるクレーターを探し求めるという科学ドキュメンタリー番組でした。
このブログでも過去に「テクタイト」(2020.01.24)と「謎の痕跡」(2019.03.01)と「うれしいお客さん7」(2013.12.26)でテクタイトが登場しておりましたが、今日の「オーストラリア・アジア テクタイト」はその最新バージョンとなります。
番組では、二人の多田さんという研究者が主人公となって、隕石衝突の際に生じたイジェクタ堆積物の分布を探りながらクレーター本体を探し求めるという内容になっておりました。その結果、ラオス南西部の玄武岩地帯に焦点が絞られ、他の研究者の知見も加味しながら、衝突地点を推定する科学的な仮説を紹介しておりました。今後は地下のボーリング掘削で、コアサンプルを採取したりして実証する必要性があるそうで、今後の研究成果にも期待したいところです。
その隕石衝突の際に散らばった様々なテクタイトも登場しておりました。特に興味深く思ったのは、広範囲に散らばったテクタイトの落下地点により形が変化しているという事実でした。これまでに、様々な形のテクタイトが存在しているという事がわかっておりましたが、それらの形が、散らばっている場所により変化しているという事でした。
(余談ですが、番組内でテクタイトの標本が紹介されましたが、そこは東京大学総合研究博物館で、その際に登場した教授のお顔に見覚えがありました。それもそのはず、それは先日、講演会を聴講したばかりの若林鉱物標本展を企画された三河内 岳教授でした。)
これまでテクタイトとはインパクトガラスで、鉱物標本市場では比較的身近な存在で、安価なものだったと思います。
この番組を見ると、それはまだまだ謎多き存在で、地球史の一端を物語る貴重な石だったという事を再認識しました。
今日の写真は、そのオーストラリア・アジア テクタイトのひとつです。
美しいしずく形だと思いました。
実は、これは、このような大量の中からひとつだけ取り出したものです。