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鉱物の部屋へのいざない

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「限りなく黒に近いグリーン」

2022-10-04 12:13:40 | 日記・エッセイ・コラム

私が高校生の頃、作家の村上龍(当時、武蔵野美術大学在学中の学生だった)の小説「限りなく透明に近いブルー」が芥川賞を受賞しました。その時、高校の現代国語の先生が「そんなことアリエナイ!」と嘆き悲しんでいた事を思い出します。私は、その小説も読み、その映画も見ましたが、普通の作品であったし、さらに芥川賞だからと言って、それほど嘆き悲しむほどの事ではないだろうと思っていました。今でも、ニュースなどで何とか賞とか話題になっていますが、そもそも何とか賞などには絶対的価値があるとは思っておりませんし、単なる権威付けに過ぎないものだろうとして捉えております。

さて、「限りなく透明に近いブルー」の文学的価値はさておき、その題名にはチョッと気になるところがあります。例えば、宝石のサファイア、良質で美しいものに対する表現として、「限りなく透明に近いブルー」という表現は言い得て妙だと思います。宝石鉱物にとっては、透明感は非常に重要です。さらに「限りなく」という表現も数学の漸近線のようなイメージがあって、上手い表現だと思います。ブルー系の宝石原石の「限りなく透明に近いブルー」というイメージは、非常に魅力的だと思います。

それとは別に、それをもじって「限りなく黒に近いグリーン」というイメージの鉱物があります。例えば、濃い色のグリーントルマリン、一見するとショールトルマリンかと思っていると、それを強い光のライトで照らすと、実は、透明感のあるグリーントルマリンであったりする事がしばしばあります。鉱物の色は光源によってその色イメージは変化します。

上の写真は水晶にグリーントルマリンが張り付いているものですが、一見するとブラックトルマリンが付いているように見えます。それにライトを当てて見ると、透けたグリーンであるとわかります。

過去にはもっと極端なものがありました。どうも、限りなく黒に近い緑色の鉱物は他にもたくさんありそうです。・・・。

もっと言うと「限りなく透明に近いグリーン」や「限りなく黒に近いブルー」もたくさんありそうな気がしております。

コメント
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