めへへ 書感

本好きなヤギ似のワタシが 勝手な感想を綴った備忘録 (時々、他)♪

閉鎖病棟(帚木 蓬生)

2011-01-17 21:27:21 | 本(まあまあ) た・な・は行の作者

もともと ワタシは、帚木文学のファンです。
帚木先生の作品からは、精神科のDr.というご職業以上に、れっきとした“作家さんクサさ”を感じます。

それにしても、
この作品のカバーに載っている、帚木先生のお顔が お若いのにビックリ!
(え~と、1995年の山本周五郎賞 受賞作でした。)

そっか~・・
こーんなにお若い頃から、既に、作家として完成された領域に達せられていたのですね。
ほんと、帚木先生の作品は、どれも日本文学としての しっとりとした趣を味わえます。
帚木先生の 言葉の綴りが美しい(しかも、わかりやすい!)文体に接すると、
忘れていた読書の楽しさの原点を思い出します。。

さて、この作品は、帚木Dr.の真骨頂とも言える、精神科の病院が舞台ということで、
様々な患者たちの実情が、実にリアルに描かれています。
頭のいい人気者のチュウさん,元板前で書の達人の秀丸さん,元やくざで嫌われ者の重宗,耳も聞こえず口もきけないのに物事を器用にこなす昭八ちゃんなどなど・・・
それぞれに皆、頭の病気のせいで殺人や犯罪を犯したりして、家族親戚からも見放された大人たちが、長期入院という形で生活をする中、
(なにしろそれぞれの個性が豊かすぎるため…)病院といえど数々のドラマが起こります。

この一人一人の心情や、入院に至った経緯の描写は、ほんと、帚木先生にしか描けないリアルさが光っています。
それでもって、通院患者の中学生の女の子(島崎さん)が、これまた、この作品の要的 存在となってくるわけですが・・・

ワタシは、通常、読書のペースが速い方なのですが、
これは、大事に 大事に 読みました。
きっと、この本を読まれる誰もが、ゆっくり じっくりペースで、活字を追いたくなるのではないかという気がします。

コメント
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