大晦日の夜には関八州(常陸・上野・下野・安房・上総・下総・武蔵・相模)じゅうからお稲荷さまたちが王子の榎の古木に集まり、装束を整えてから王子稲荷にお詣いすると言われていて錦絵にも描かれています。その榎のあったところが現在の装束稲荷さまのはじまりだと言われています。昔は現在のお社よりももっと神谷寄りの6差路の近くだったと聞いています。
この「狐の行列」はそうした話をもとに十数年前から行われている行事です。装束稲荷さまから王子稲荷さままで、狐の扮装をした参加者の方々で提灯行列をされるわけです。今回はじめて見物に行きました。
深夜0時にスタートするのですが、行った10時過ぎには装束稲荷さまの前で御神楽やお詣りで人が集まっていました。顔に化粧をしている人、お面を被っている人、飛び入りで参加しようという人、カメラで追いかけている人でごったがえし、不思議な雰囲気。フェデリコ・フェリーニ監督の一連の映画作品のドキュメンタリー風なシーンを思い出してしまいました。
カメラを抱えたおじさんたちには敵わない。「ごめんなさい、すみません」なんて気持ちではいい写真は撮れないんですね。「ぶつかっちゃ悪い、邪魔しちゃ悪い」ということであまりきれいな画像は撮れませんでした。
寒さのせいで足腰が痛くなってきたので、出発を見届けて帰ってきました。それにしても、いかにも手作りのお祭というところが素晴らしいですね。凝るところはひどく凝っています。
子狐さんからお年寄りの狐さままでいろんな狐さんにお会いできておもしろかったです。