最後の今戸人形師であった尾張屋・金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)による土人形です。
秋葉原駅のすぐそば、神田川をはさんだ対岸に柳森神社というお社があります。現・神田須田町。
神田お玉ヶ池に住んでいた親子狸を祀ったもので、お玉ヶ池はもともと別のところにあったそうです。
「この付近一帯には、徳川初期まで「お玉ヶ池」という高大な池があったらしい。桜の名所だったことから、当初は「桜ヶ池」と呼ばれ、池畔に茶屋が建っていた。「お玉」というのは、この茶屋にいた看板娘の名前で、「江戸名所図会」によると、あるとき「人がらも品形もおなじさまなる男二人」が彼女に心を通わせ、悩んだお玉は池に身を投じてしまった。亡骸は池の畔に葬られ、そんな伝説から名がついたという。現在その由縁の「お玉稲荷」が岩本町2-5に都の旧跡に指定され残っている。」(以上他のHPより引用させてもらいました。)
柳森神社は「お玉ヶ池」一帯が開けてから現在地へ移ったものだとか、、。神社からは親子一対の小狸を授与していて、明治24・25年頃に遡るそうです。親狸は「壽」、子狸は「福」を授けんという霊夢によって創りはじめられたとか。
現在でも画像の尾張屋春吉翁の作と同じ大きさ、形のお狸さまが授与されているのではないでしょうか。(神社の方にお訊ねしたところ、現在のお狸さまは日暮里のほうで作られているのではないか、、とのお話でした。)以前、私も神社で授与していただきましたが、お狸さまと一緒にキャンディー一袋を授かりました。聞けば、お狸さまは甘い物が好きで、お供えして心願するのだそうです。
春吉翁によるこの人形は親狸の背面に「福壽」という彫りがあります。画像のはお腹のところが黄色い染料で塗られていますが、黄色い顔料で塗られているのもあります。
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