水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・614」

2015-06-30 19:28:22 | Weblog



カルテ番号 ま・7(17)

この仕事をするようになって神という概念が変わった。
それは神社に来る人々とも違っていた。
神社に来る人々の神という概念も様々だった。
毎日、神社にいると、一般の人々よりも知っていると思い込んでいた。
自分の方が、神を知っている。
とらえきれない相手に向かって、そういう驕りがあった。

アリと宮司の違いは、何処に基準を置くかで判断する。
基準が神になれば、その差は無い。
なんて自分は何も知らない存在だったのだろう。
だから、こんな事で迷い、悩んでいた。
知る、とは、解っていない事を知る。
解るとは、解っていない事に、気づく事。

神という言葉を口にするのは、無知だとアピールする事に等しい。
その無知を認めた上で、方便として、例えとして使うならいい。
神という言葉や字を、簡単に使う人を、心の中で苦笑していた自分がいた。
似非教徒や似非宗教、似非精神世界スキスキ人間に苦笑していた。
だが、真木は、その人達との違いは無かったと気づいた。
タヌキやネコとの違いも無かったと気づいた。
ちっぽけな存在同士、どう補い合って生きていくか、が仕事というものだろう。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・613」

2015-06-29 19:54:56 | Weblog



カルテ番号 ま・7(16)

人間社会用でいえば、宮司は宮を司る。
人間社会用でいえば、宮司は神社の長だから社長でもある。
人間社会では、小間使いよりも社長は立場が上だ。
人間社会では、簡単にいえば、宮司は偉い立場だ。
だが、それは、人間社会用なのだ。

神様からみれば、王様だろうが奴隷だろうが関係ない。
人間だろうが、ミジンコだろうが関係ない。
神職だろうが、泥棒だろうが関係ない。
神社のまわりをうろつく人間だからといって、贔屓にはしない。
作務衣だろうが、裃だろうが、気にもとめない。

「そうでした・・・」
真木は院長にそれだけ言った。
その表情から院長は小さく頷いた。
頭が軽くなるのを感じて、胸が楽になるのを感じた。
呼吸がそれまで重かったことに気づいた。
軽くなると、重かったものが判る。
軽くなると、自分が何を持って重くしていたのかが、判る。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・612」

2015-06-28 19:24:28 | Weblog



カルテ番号 ま・7(15)

神様のしもべ。
神社の管理人。
神と人との橋渡し。
神様の通訳人。
神の社の守り人。

神道を知るとは、人の小ささを知ること。
人の矮小さに気づくこと。
だから、ほんの少しのお手伝いしかできない。
僅かな掃除しかできない。
祓いとはいえ、人の力ではない。
神様の力を借りての祓いだ。

そういう思い自体が、思い上がりだった。
いつの間にか、神様の近くで働ける優越感となっていた。
宮司を校長に例えていた。
そうじゃない。
宮司は用務員より下の階級なのだ。
一瞬で、真木は、そのことに気づいた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・611」

2015-06-27 19:23:20 | Weblog



カルテ番号 ま・7(14)

黙ってしまった真木に院長は話を続けた。
「真木さんの神の概念と私のとでは違うかもしれません。
ですから、私は真木さんの悩みや迷いは解りません。
ですから、質問のようなものです。
宮司が責任を負うのは、誰に対してですか?
神様ですか?神社の氏子さんに、ですか?」

真木は、またまた詰まってしまった。
宮司が責任を負う相手は、誰か?
神社を守る、という対象は誰か?
人間が神様を守る?
神様の責任を負う?
そんなことは滑稽なだけだ。

人間が宇宙を背負えるか・
地球を背負えるか?
山一つを背負えるか?
木一本を見守ることが出来るか?
寿命のある木でさえ、人間の寿命を遥かに超えるのだ。
神社を守る?
真木は、本当にショックだった。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・610」

2015-06-26 19:37:14 | Weblog



カルテ番号 ま・7(13)

「実は私は・・・」
と真木は自然に今の状況を話し始めていた。
「そうですか、宮司さんですか。
宮というのは神の社、神社のことですね。
宮を司る立場なのですね」
院長は宮司という言葉に関心しているようだ。

「神主さん、というのとの違いはなんでしょう?」
真木は院長の質問に答えた。
「簡単にいうと、神主というのは、神社を職場にしている人達です。
現在は神職という言い方ですが、例えれば学校の教員みたいなものです。
宮司は役職名のようなもので、その神社の社長にあたります。
学校でいえば、校長になります」

院長は少し考えて言った。
「すると、真木さんは教員でいたいが、校長は嫌だと」
真木は、その例えに笑ってしまった。
「そうですが・・・少し継ぎ足せば、教員よりも用務員でいたいのです」
「責任を負うのは、嫌だと」
次に、院長は正面からの言い方だった。
これには、真木が詰まった。
そして、改めて考えた

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・609」

2015-06-25 19:20:40 | Weblog



カルテ番号 ま・7(12)

気功は心に影響する。
その言葉を聞いた瞬間、真木の中の何かが晴れた。
「お願いします、ぜひ」
急に真剣な顔になった真木を正面から見て、
「どうぞ、こちらに」
とマットに仰向けにされた。

「ちょっと身体を診させていただきますね」
そう言って院長は軽く身体のアチコチを触った。
手を置く時間は5秒くらいずつ。
そんなに早くて、何が解るのだろう?
腹部や胸部に触られた時は、何も感じなかった。
強いていえば、5秒でも温かく感じていた。

それから、頭部に移って、今度はしばらく頭に指で触れていた。
今度は感じる。
頭の中が、重くなった。
そして、次に軽くなっていった。
その間、5分くらいだろうか。
頭の霧が晴れる、とはこんな感じだ。
心が、不思議だが、落ち着いているのがわかる。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・608」

2015-06-24 20:23:51 | Weblog



カルテ番号 ま・7(11)

「すいません、気功を体験したいだけなのですが、いいですか?」
真木は最初にそう言った。
「結構です、そういう方もいらっしゃいますよ。」
院長は特に気にしてないようだ。
「ここは、どういった人が来るのですか?
腰が痛いとか、肩がこるとかですか?」

院長は苦笑のような表情で答えた。
「そういう方は少ないですね。
多分・・・整体とかマッサージにいくのだと思います。
ここは・・・様々ですが、もう少し深刻な方が多いですね。
一応、中々回復、解決しない身体と心を扱っています。
まぁ、気功などと怪しげなところですから、よくよくなのでしょうね」
まるで他人事のような言い方だった。

「心、というと、悩み事なども気功で治るのですか?」
真木は心が対象になるとは思ってもみなかった。
「身体も心も、治るかどうかは本人次第。
というより、治すのは本人ですから。
私は、ほんの少しお手伝いをするだけです。
身体だけでなく、気功は心にも影響しますから」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・607」

2015-06-23 19:13:05 | Weblog



カルテ番号 ま・7(10)

帰り道に、ふと目に入った看板。
気功の治療院だった。
錆びた看板だが、治療院はしているようだ。
そのまま魅かれるように駐車場に車を入れた。
よく見ると予約制と書いてあった。
だが、他に車はない。

「ごめん下さい」
「はい」
「予約していないのですが、診てもらえますか?」
「どうぞ」
院長は40代くらいの穏やかな人だった。
そして、ここで真木は特に診てもらう理由が無いことに気づいた。

入りながら自問していた。
何故、ここに入っているのだろう。
何故、急に診てもらいたい、などと言ったのだろう。
同時に自答もしていた。
自分の頭で考えた行動ではないのは、惟神(かんながら)かもしれない。
導き、かもしれない。
別な答えもあった。
それは、いいわけだろう・・・

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・606」

2015-06-22 19:31:12 | Weblog



カルテ番号 ま・7(9)

引き受けざるをえないが、宮司を続ける自信は無かった。
北部の神社は過疎化している。
人口が衰退の一途だ。
高齢者割合がとても高い。
新たに家族を作るような人達は、少しでも南方面に出てしまう。
豪雪地帯が原因ではなく、地域の行政の態度だろう。

建前からいえば、人がいなくても神の社を守るのが仕事。
真木は北部の3つの社を見に行った。
社自体は思ったよりも状態がいい。
それなりに大切にされているようだ。
ただ、やはり生気がない。
人の生気が残っていないのだ。

どんなに給金が安くても、この仕事が出来るならいい。
一日中、箒を持って掃除するのが幸せだと感じる。
儀式を執り行う事など、なくてもいい。
下働きが、本来の役目だと思える。
だが、宮司、神主となると違う。
人の世に係わらなくてもならない。
人と神の渡し役よりも、社会の一部を維持しなければならない。
真木は、悩んだ。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・605」

2015-06-21 19:19:34 | Weblog



カルテ番号 ま・7(8)

神社を守るのが仕事とはいえ、現実は厳しい。
昔はそこに暮らす人々が補助してくれた。
修繕、補修、周囲の美化を暮らしの中でしてくてていた。
宮司はひたすら境内の祓いをすればよかった。
そして、暮らす人々と神の橋渡し、お手伝いをしていた。

今は宮司の才覚で運営をしなければならない。
あからさまにいえば、商才の無い宮司の神社は衰退する。
そして、暮らす人々の意識も変わった。
戦後教育は科学主義が中心だ。
神などと見えない存在は非科学的で間違いと教わった。
その人達が大人になり、暮らしているのだ。
神社を積極的に大切にするわけがない。

イベントとして神社に足を運ぶが、信じてはいない。
神社は人の思いで清浄が保たれる。
思いが祓いになる。
思いのある宮司でも、一人で神社を守るのは厳しい。
神社は清浄であって、神社なのだ。

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