水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1021」

2016-08-31 19:43:50 | Weblog



カルテ番号 よ・6(31)

昨日と同じ時間に治療院を訪れた。
昨日と同じようにマットに横になった。
「どうですか?
氣を受けてみて、何か変わりましたか?」
百合はドキドキして言った。
「いろいろが変わりました。
あ、身体は軽くなりました」

院長は微笑んで、また頭を指で触った。
「私は変わった、楽になったと言われるのがご褒美です。
本人が自覚無い場合でも、変わったら嬉しいものです」
「自覚なくても、わかるものなのですか?」
「本人よりも、周りの人が気づきますね。
顔つき、姿勢、話す方向が変わりますから」

百合は昨日より更に積極的になっていた。
自分の訊きたい事を普通に話している。
以前は、何かを訊きたくても、声さえかけられなかった。
「あの~、いろいろ教えて欲しいことが沢山あります。
私、学校もキチンと行ってなくて、無知なのです。
人見知りで、教えて欲しい事も黙っていました。
あまりに幼稚な質問でもいいですか?」

(登場する人物・組織・その他はフィックションです)

(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。
ブログで書いた「迷説般若心経」  「迷説恋愛論」  「迷説幸福論」
誰か出版してくれぇ~
18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1020」

2016-08-30 19:29:31 | Weblog



カルテ番号 よ・6(30)

その夜、百合はぐっすりと眠った。
久しぶりの深い深い眠りだった。
朝起きると、頭の中の膜が無くなっているような気がした。
薄くぼんやりとした膜だった。
無くなってみると、薄い膜なのに、重かった事が判る。
そして、とてもお腹が空いていると思った。
普段は朝食の量は少ないのだが、今朝はいくらでも食べられそうだった。

もう一つ気づいた事がある。
いや、気づく事は次から次へとあった。
カーテンを開けたら、とても明るかった。
明るさが違うのだ。
空が青かった。
青の深さや綺麗さに気づいたのだった。

シャワーを浴びると、身体がイキイキしている。
僅か2時間、院長の氣を受け、話しただけなのに・・・
そして、更に気づいた。
ずっと忘れていた、いや、封印していた感覚。
少し、戸惑う。
だが、生命が活動をしている証拠だと理解できる。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1019」

2016-08-29 19:33:19 | Weblog



カルテ番号 よ・6(29)

百合はつぶやくように言った。
「ワガママをしてもいいのですね。
世間並から外れても、いいのですね」
院長は笑って言った。
「当たり前です。
先ほど話したように、個というのはオリジナルな色です。
ワガママが自然なのですよ。
他人の生きる自由を奪わないかぎり、ワガママをして下さい」

特に他人と話を合わせなくてもいいのだ。
無理して口もきかなくてもいいのだ。
相手の自由を束縛しないのだから、関わらなくてもいいのだ。
どうどうと、変わった人のままでいいのだ。
まだ、頭が整理つかないが、楽になった。
もっと、いろいろ聞きたいが、今日は限界かもしれない。

「先生、明日も予約したいのですが、都合はどうでしょう?」
「ヒマですよ。何時でもいいですよ」
「では、今日と同じ時間でお願いします」
「わかりました」
立ち上がると、少しフラフラするようだ。
軽くなっているのだが、ボウとしている。
でも、明日も話ができる。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1018」

2016-08-28 20:41:36 | Weblog



カルテ番号 よ・6(28)

百合はそんな大きな事を考えていなかった。
目の前の苦しさから抜ける為には、努力が必要だと思っていたのだ。
社会の為ではない。
自分の為に変わりたかった。
それなのに、世間の基準に成ろうとしていたのだ。
いつの間にか、社会の基準、常識に支配されていた。

「社会の為、国の為、世の為、人の為。
そういうのは、趣味にしましょう。
趣味ならば、迷惑をかけない限り自由です。
自分が楽に成りたい、と思うのは個の為です。
私は、生命は個の為に存在していると思っています。
世の為、人の為、国の為、は生命を軽んじているようです。
個の生命を犠牲にするのが、立派だとはやし立てます。

少し冷静になれば解る事。
個の生命が軽い世の中なんて、マトモとはいえません。
嘗ての多くの戦争、そして今も起こっている戦争。
ナントカの為、という大義名分を双方で掲げています。
大義名分があるので、いつまでも止めません。
多くの犠牲と多くの苦しみと長きに渡る不幸の行いです。
個の生命が大切にされてこそ、その先が続くのですから」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1017」

2016-08-27 20:29:06 | Weblog



カルテ番号 よ・6(27)

考え方が逆だった。
努力しなければ、と思い込んでいた。
新しい事に挑戦しなければ、と思い込んでいた。
変わらなければ、と力を入れていた。
院長は、その逆を言う。
今まで努力してきたのだから、力を抜けという。
新しい事ではなく、そのままで力を抜けという。

「もしかして、努力が足りなかった、と思っていました?
そんな風に思う人のほとんどが、しすぎているのです。
どうして生きていくのに、努力が必要なのですか?
努力をする目的は、苦しむ為ですか?
楽という字と楽しいという字は同じです。
努力は社会的成果、あるいは、他人の目を意識した言葉です。
努力が必要、と教えたがるのは、社会に都合がいいからです。

社会に都合がいいというのは、社会を牛耳る、束ねるのに都合がいいのです。
個人の幸せを願っているわけではありません。
そして、束ねるのは政治家、官僚という人達。
それに憧れ、準じる人達。
人の上に立とうとする人達の考え方ですね。
どんな目標も考え方も自由です。
ですが、自由は他の自由も認めて成り立つものです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1016」

2016-08-26 20:10:23 | Weblog



カルテ番号 よ・6(26)

百合は涙が流れている事に気づいた。
あまりに自然に流れていたので、分からなかったのだ。
変わらなくては、人並みにならなくては、と思い込んでいた。
その思いは、とても苦しかった。
変わろうとしても変われない。
人並みが出来ないから苦しい。
その思いが溶けていく。

このままが自分。
ただ、強く着こんでいただけ。
別な自分になどならなくていい。
いいや、なろうとすれば苦しさが増すだけ。
でも、どうしたら脱げるのだろうか?
着る事ばかり考え、してきたから脱ぎ方がわからない。

「先生、どうしたら脱げるのですか?
私、着方は自分でできたけど、脱ぎ方はわからないのです」
院長は笑顔で言った。
「モノを持つ、得る事の方が大変なのですよ。
服や鎧も同じ。
着る方が難しいでしょ。
脱ぐのは、簡単なのです。
力を抜く事、それで自然に脱げてしまいます。

そうですね・・・
力いっぱい何かを握っている状態。
握るには力と根性が必要です。
でも、離すのは簡単でしょ。
手を開けばいいだけですから。
何かを探して、拾って、離すまいとする方が大変なのです。
吉永さんは、その大変な事を小さい頃からしてきたのでしょう。
それだけで、充分心が強い人なのですよ。
でも、もう、楽になってもいいでしょう」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1015」

2016-08-25 19:46:12 | Weblog



カルテ番号 よ・6(25)

百合は言った。
「何枚も重ね着をしているのですね」
「そうですよ。
薄い肌着から次第に厚いものを着ていきます。
ですから、脱ぐのも重く厚いものから順番です。
鎧の下に肌着はありません。
厚いオーバーを着ています。
外側から一つずつ脱いでいく度に、身体は軽くなります」

百合は頷いて言った。
「別な服を着ることは、より重くなってしまうのですね」
「そういうことです。
別な自分に変わろうとする人がいます。
最初はいいように思えても、苦しくなってしまいます。
無理して着こんだ負担が、苦しみを増やしてしまうのです。
変わらなくていいのです。
そのまま軽くなればいいのです」

院長の手が頭に触れている。
このままで、軽くなる。
実際に、横になっているままだが、軽くなっているのが判る。
今まで、他人と触れないように、隠れるように生きてきた。
隠れても苦しい。
係わらなくても苦しかった。
それは、自分で自分を重くしていたからなのだ。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1014」

2016-08-24 19:15:59 | Weblog



カルテ番号 よ・6(24)

体験する為に生きている。
百合は何かが見えたような気がした。
院長の言葉は続く。
「自分を覆う服も様々です。
苦しいのは、服というよりも鎧ですね。
自分を過剰に守る為に、重い鎧をまとってしまった。
重すぎて、歩く、つまり生きていくのも苦しい。
辛い、大変だと思い込んでしまいます」

百合はわかる。
実感してきたことだ。
自分を鎧の中に閉じ込めていた。
表に出る事が怖かった。
でも、表に出なくても、鎧は重く、苦しかった。
出ても苦しい、出なくても苦しい毎日だった。

院長は言った。
「鎧は重すぎでしょう。
鎧を脱いでも、いきなり裸ではありません。
厚手の服を着ています。
安心して脱いでも大丈夫です。
やがて、厚手の服も重かったり、苦しくなったら・・・
それも脱げばいいのです。
すると、下に普通の服を着ています」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1013」

2016-08-23 19:47:54 | Weblog



カルテ番号 よ・6(23)

「環境、育つ過程、様々な出来事。
それらの影響で色が付いてしまいます。
同じ出来事でも、人により色は違います。
一度付いた色を消すことは・・・
おそらくですが、できません。
消すことはできないのですが、薄くすることは出来ます。
薄くなれば、本来の性格の明るさが、より強く反映されます。
まるで別な色になったかのように」

百合も言った。
「別な自分を目指さなくてもいいのですね。
別な自分に変わらなくても、変われるのですね。
色を塗り替えるのではなく、厚みを薄くする・・・」
院長は優しく言った。
「別な表現をしましょうか。
電球に付いた色は、服装だと思って下さい。
服装とは、裸の自分の上を覆うものです。

裸で生きられる時は、赤ちゃんの一時だけですね。
もちろん、裸族もいますが、本当の裸ではありません。
皮膚を、それなりに強くしています。
服装は、生きていくのに、ある程度は必要なのですよ。
純粋な裸が理想ではないのです。
生きる事、生命を体験するとは、服を着る体験でもあるのです。
生命は、守っているから、生き続けられるのです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1012」

2016-08-22 21:41:44 | Weblog



カルテ番号 よ・6(22)

百合は考えた。
言葉の意味を考えた。
自分を変えたい、というのは、満足できる方向に変えたいのだ。
もっと嫌な自分に変えたいのではない。
それならば、変えるというのは特別な方法ではない。
共通な方法であり、共通な方向。

「先生、変える、と思っていたのは勘違いだったのですね。
変えるのではなく、色を薄くする事だと思います」
院長は笑顔で言った。
「吉永さん、よく気づきましたね。
言葉を教わるのではなく、自分で気づく。
それが、自分の足で歩く人生です。
吉永さんは、自分で人生を決めている、一人前の人ですね」

百合はそんなふうに言われたのは初めてだった。
自分の意見など言えず、自分の人生は隠れて生きる事だと思っていたのだ。
確かに、この地域に来てから、自分が一人で考えて言えるようになった。
この院長とのやり取りも、自分で考え、自分の意見を言えている。
もう、自分の変えたい性格になっているような気がした。
何も大きな出来事がなかったのに、不思議だった。

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