カルテ番号 あ・28 7度目(38)
「センセーは奇人の研究者が銀座のクラブなどに来ないと思っているでしょ」
「いや、私も行った事が無いから、よくわからない」
愛田恵子はニコニコして言った。
「来ないわよ。来るわけないわ」
自信満々な言い方だ。
「いや、中にはオンナ好きとか酒好きとかいると思うけど・・・」
愛田恵子は腰に手を当てて言った。
「あのね、オンナの子のいる飲み屋に来る人はね・・・
何て言ったらいいのか・・・
それまでが、どんな仕事でも成績でも生き方でも関係ない。
今、夢中になっていないから、来るのよ。
夢中になるモノがあれば、飲みに来るヒマが惜しいのよ。
オンナ好きでも酒好きでも、夢中が優先するの」
風間陽水は少し間を置いた。
「早い話が、ヒマ人?」
「ヒマ人じゃないわ。それぞれ本業は忙しいもの。
忙しいけれど、夢中じゃなくなっている人達。
大きさはそれぞれだけれど、心に穴が空いている人達。
だから、そこを一時の酒や会話やその他で埋めるのが仕事になる。
とてもいいお金にもなる」
(登場する人物・組織・その他はフィックションです)
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
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