水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1174」

2017-01-31 19:01:14 | Weblog



カルテ番号 り・1(42)

力石静に息子から電話が入ったのは翌日だった。
息子の言葉は意外だった。
母親から離れ、一人で独立して生きていくのだと思っていた。
それが、北海道に来ないか、という誘いだった。
理由を聞いて、更に意外だった。
息子も祖母の血を引いていたのだった。
しかも、静よりも能力は強かったようだ。

北海道の大学に進んだのは、首都圏が危ないと感じたからだそうだ。
母の静に言っても、その感覚は理解されないと思ったという。
事実、息子が北海道を受験する頃、静は何も感じていなかった。
早く安全な場所で暮らしの基盤を作る。
母親を守るのは、自分だ、と思っていたらしい。
そして、その能力も使い、学生ながら一人前以上の収入を稼いでいた。
やっと、手頃な貸家が見つかったのだという。

静には思いもかけない嬉しい提案だった。
だが、息子に今の状況を正直に話した。
自分も首都圏の危なさに気づいて、群馬に住む決意をした事。
災害からの復興に関連する仕事も見つかった事。
信頼できる人達と巡り合った事。
だから、当分は一人でやっていきたい旨を話した。
むろん、息子はその決意を納得し、応援すると言ってくれた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1173」

2017-01-30 18:09:45 | Weblog



カルテ番号 り・1(41)

静は思った。
確かに物事の正誤にとらわれていた。
院長がいわれるように、その判断は時々間違う。
年齢を重ねて判る事も多々ある。
社会も新たな事実を発見し、以前の常識や知識が間違いだと発表する。
それさえも、未来においては覆すかもしれない。

正誤の判断は危ういもの。
それよりも、もっと大切な事やモノがある。
その為には、故意の嘘さえ使い様。
そうなのだ。
使い方が大切で、正誤が大切ではなかった。
自分の能力は、使ってはいけないものでも無かった。
知っても、知らせなければならないものでも無かった。

「先生、心の霧が晴れたようです。
私、ずっと迷いながら自分を責めていました。
息子も一人立ちして北海道にいます。
私も一人立ちして、こちらで暮らそうかと思います。
そして、災害の準備の仕事をしたいと思っています。
早速、柳さんに相談してみます。
私の僅かな能力も、これからは活かせる時には使おうと思います」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1172」

2017-01-29 16:29:12 | Weblog



カルテ番号 り・1(40)

院長は少し微笑んだ。
「そういうわけでもないのですが・・・
例えば私はクライアントの生命力を活性するのが仕事です。
私が厳しい状況だと思って、そのまま言ったとします。
生命力は活性しますか?
未来の道は、それなりにあるのです。
希望が持てる道幅が、どんなに狭くても、あるのです。
人間の知識や常識では無くても、見えない道があるのです。
いえ、あるのではないか、と思っています。
社会的には嘘でも、生命力が活性するのは、嘘側にあるのですね」

院長は一息ついてから話し始めた。
「地震などの自然現象はかなり律儀に起こります。
それが勘や感覚でも起こるものは起こります。
でも、そのまま言っても対策をしてくれるわけではありません。
力石さんが、どんなに確信を持って言っても、ほとんど聞いてくれません。
それどころか、危ない人物とされかねません。
それで、今後の多くの人に役に立ちますか?
一人でも逃れて欲しいのなら、今は嘘をつく方がいいのです。
そして、別のお手伝いをしてみてはいかがでしょう。
故意の嘘でも、役に立つ事をお伝えしたかったのです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1171」

2017-01-28 19:09:09 | Weblog



カルテ番号 り・1(39)

院長は静かに、ゆっくりと言った。
「嘘も間違いも善悪からは切り離して下さいね。
人は故意でも無意識でも、避けられないで使っています。
空気があるように、嘘も間違いもあるのです。
更に大前提として、嘘や間違いを正確に判断できないのです。
あまり、嘘にこだわると、何が大切なのか見失います。
大切な事は、真実を知る事ではないのですよ」

静は独り言のようにつぶやいた。
「大切な事・・・
命、平和、幸せ・・・」
院長は言った。
「大切な事、大切なモノは幾つもありますね。
それほど多くはないですが・・・
その大切な事、モノの為ならば、嘘も使い方ではないでしょうか?」

静は、しばらく考えて言った。
「先生、ありがとうございます。
私が知ってしまう事を、他の人に知らない振りをする。
それに罪悪感を持たないように言ってくれているのですね。
私、長い間、どうしていいかわからなかった。
言う事が、正しいと思っていました。
でも、結果的には身内を不幸にしてしまっていた。
嘘を言えば、よかったのですね」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1170」

2017-01-27 18:12:25 | Weblog



カルテ番号 り・1(38)

「嘘を言うのですか?
それって、騙すのですか?」
院長は普通に答えた。
「そうですよ。
嘘なんて普通に皆さんしているでしょ」
静は何と言っていいのかわからなかった。
「故意かどうかは別にして、嘘をつくでしょ」

静は首を振りながら言った。
「いいえ、普通は嘘をつかないと思います」
それに対して、院長は言った。
「ついていますよ。日常生活で普通に・・・
力石さんも私も、そこらへんに歩いている人も。
新聞もテレビも国会も学校も学者も先生も同じです。
ただ、それが嘘だと判らないだけです」

静は言った。
「嘘ではなく、間違いはあると思います」
院長は言った。
「故意が嘘で、間違いは嘘でない、と?
でも結果は同じでしょう。
いいや、思い込んでいる分、相手も信じてしまう。
より、たちが悪いともいえます」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1169」

2017-01-26 18:46:06 | Weblog



カルテ番号 り・1(37)

静はそういう院長はどうなのだろう?と思った。
「先生は患者さんの悪い所がわかるのでしょ。
やはり、知らないふりをしているのですか?
それとも、本当の事を知らせるのですか?」
院長は少し困った顔で言った。
「ケースバイケースです。
私は相手を患者とは思っていません。
依頼者として接しています。
そして治療師ですが、医者ではありません。
必ずしも、病気を治すのが仕事ではないのです。
相手の生命力を活性し、明るい方法で歩いて欲しいのです。
その為には、知った事を教えなかったりもします。
もちろん、私の感覚で、と説明して、そのまま伝える事もあります」

患者でなく、依頼者?
医者ではないが、治療者?
教えたり、教えなかったり?
この院長の言う事が、よくわからない。
ただ、どうやら真摯に相手の生き方を尊重しているようだ。
病気よりも、生き方を重視している、という事なのだろうか?
院長が笑って言った。
「嘘もつきますよ」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1168」

2017-01-25 15:44:09 | Weblog



カルテ番号 り・1(36)

静は祖母を思い出しながら言った。
「どうして不幸になるのでしょうか?」
院長は言葉を選びながら話した。
「依頼する人が負の氣を背負って頼るからです。
占い師は、その負を浄化しているわけではないのです。
一応能力がある、と仮定しての占い師ですが・・・
浄化、つまり調和しないで、別の道を提示するのです。

そうですねぇ・・・身体に例えれば、病を治さずに、痛み止めだけをする。
本来の痛み止めの使い方。
痛みを止めている間に、元の病を治す行為があればいいのです。
ところが、依頼者も目の前の一時の満足で終わらせてしまう。
負の氣は、依頼者と占い師の両方に残ったままなのです。
しかも、占い師側は、多くの負を次々に背負う。
これで不幸にならないわけがありません」

確かに、あれほど他人の為に尽くした祖母の最後は厳しかった。
どうして?神様、どうして?と思った。
院長は静かに話を続けた。
「決して占い師側が悪いわけではないのですが・・・
仕組みと、浄化の方法を知らないのです。
知っていても、多くの負を背負う現実。
依頼側も大元を治すつもりが無い事。
だから、依頼者は、問題が起こる度に依頼するようになる。
結局、依頼者の為にならないのです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1167」

2017-01-24 15:39:11 | Weblog



カルテ番号 り・1(35)

静は祖母を思い出した。
祖母には、そういう能力がある事を知られていた。
だから人々が祖母に頼ってきていた。
商売にしていたわけではないが、頼まれれば応じていた。
だが・・・確かに、本意ではなかったと思う。
できれば、したくなかったのだと思う。
だから静に能力を隠すように伝えたのだ。
知っても、知らぬふりをするように伝えたのだ。

「占い師とか、霊能者とかで商売をしている人達がいます。
皆さんが全てインチキとは思わないのですが・・・」
院長の言葉は冷静だが、辛辣でもあった。
「例えるなら、インチキが90%以上。
残りの9.9%は僅かな能力を自己判断でする勘違いでしょう。
ただ・・・更に残りの0.1%くらいに、かなり信頼できる人もいるでしょう。
でも、表に出たがる人、高額を取る人は、まず関わらない方がいいでしょうね。
インチキでなくても、その能力を使えば不幸を招いてしまうからです。
つまり、不幸渦巻く処に相談に行っているのです。
インチキでなくても、そんな事も判らない程度の能力しかないのです。
だから、本物は表には出ようとしません」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1166」

2017-01-23 19:06:34 | Weblog



カルテ番号 り・1(34)

静は言った。
「それは身に染みて判っています。
でも、教える事で助かる事もありますよね。
例えば行方不明の犯罪の犯人。
何処にあるのか不明の大切な物。
誰も気づいていない病気の箇所とか。
そういうのも、教えてはいけないのでしょうか?」

院長は言った。
「基本的には、特殊能力で知った事は知らせるべきではないと思います。
世の中には、職業として、そのような仕事をする人もいます。
でも、実体は、その事実を誰も確かめられないのです。
ここに、インチキ、詐欺、勘違いが生まれます。
でも、頼る人は藁にもすがる気持ちで訪れます。
決して少なくないお金を用意して・・・
私は、それが当たっていても、するべきではないと思っています」

「では、そういう能力がある人は、どうすればいいのでしょう?」
院長は即座に言った。
「黙っている事ですね。
そして、そういう能力がある事自体も隠すのがいいと思います。
それは、本物なら自然と解っているはずです。
逆な言い方をすれば・・・
本物の能力者は、表には出てきません」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1165」

2017-01-22 19:19:06 | Weblog



カルテ番号 り・1(33)

院長は少し目を見開いて力石静を見た。
「力石さんは、そういう事がある方なのですか?
場面が見えるような・・・」
「いえ、少しだけです。
普段は見えません。
一昨日に感じた事が不思議だったので、久しぶりに集中してみました。

実はもう母方の祖母が、そういう能力があったようなのです。
知らない事を知る能力とでもいうのでしょうか。
失せ物探しとか、その人が陰で何をしているか、とか。
私も少しだけ、その血を引いているようです。
でも、知らない事を無理やり見てしまうと不幸になると教えてもらいました。
それを守らなかったから離婚してしまったのですけれど・・・
先生、人は見えない事を知ってはいけないのでしょうか?」

院長は少し考えているようだった。
「そうですねぇ・・・
例えば社会の中、という範囲に限定すれば、その通りです。
社会生活は、お互いが無知と秘密と勘違いで成り立っています。
ここに本当の事をその都度持ち出せば、トラブルになるでしょう。
何しろ、見えているのは当人だけです。
それに、力石さんも自分の秘密を勝手に見られたら嫌でしょう。
社会生活は、多くの人が集まっているのです」

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