水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1112」

2016-11-30 19:27:05 | Weblog



カルテ番号 ら・1(14)

良知和尚は言った。
「空海僧正は、おそらく日本各地に同じような書を残していると思われます。
小さな寺でも、ある程度の人達の役に立てる。
そういう寺が幾つもあれば、その総数はかなりになる。
拙僧共は、己が出来る最大限を目指していますが、着実をも目指しています。
そして、開祖の空海僧正を信じています。
この先、どうなるのかわかりません。
ですが、先生には手伝って欲しいのです。

いや、おそらく、手伝ってくれるでしょう。
ここまで続いた僧正の書が残されているのです。
先生に力があろうと、なかろうと、書には記されているのです。
拙僧は、ここに来て、先生と会い、確信しました」
良知和尚のその目は柔らかだが、真摯の輝きがあった。
風間陽水は途中から、わかっていた。
今、愛田恵子を先頭として作り上げているプロジェクト。
その具体的応用の一つが、この青龍寺なのだろう。

「良知さん、お話し伺いました。
私自身、ほとんど力はありません。
ですが、おそらく、その震災について対応できる人達を知っています。
私は、どうやら人と人を会わせる役割のようです。
紹介しましょう。
実は、最近も、ここに4人の人達が集まりました。
集めたのではありません。
集まったのです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1111」

2016-11-29 21:03:48 | Weblog



カルテ番号 ら・1(13)

良知和尚は寺と町と海の位置まで簡単に描いた。
「書から推測できるのは、津波でしょう。
津波が起こるのは、どこかで地震がある、ということでしょう。
その場所まではわかりませんが、近海と思えます。
東北大震災時を教訓として、早めの対策をしておきたい。
東北津波クラスなら、ここの町も飲み込まれます。
この町の人口は4万人です。

もちろん、隣接する町、市、その範囲を広げれば数百万人が対象でしょう。
あるいは、規模によってはもっと多く、数千万人かもしれません。
ですが、寺の出来る範囲は4万人です。
宗教が人の苦しみを軽減する役割といっても、その範囲があります。
地球上、全ての人を対象にはできません。
まして、人以外の生物全てなど、とても無理です。
自分の、自分達の出来る範囲を知らないと、出来る事も出来なくなります」

良知和尚は、誠実で冷静な僧なのだろう。
自分の力を知らない人は多い。
感情や理想だけで、言葉を発しても、行動は伴わない。
人は弱いし、欠点だらけだ。
だから、それぞれが支え合って、何とか生きていける。
それぞれが、小さな範囲を支え合えば、全てが生きていける。
一人で地域、国、世界を救えると思ったら、傲慢以外のモノは得られない。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1110」

2016-11-28 19:52:15 | Weblog



カルテ番号 ら・1(12)

良知和尚は言った。
「勘違いか、謙遜か判りませんが、先生が否定されるのは自由です。
鍵の材質は問題にしていません。
また、鍵そのものが宝だと勘違いもしていません。
それでも開ける為には、鍵は必要なのです。
もしかしたら、先生が開くのではないのかもしれません。
開く鍵は別にあるとしても、そこに至る仲介役は先生です。
歴代の住職と拙僧にとっては、やはり先生が鍵なのです」

風間陽水は少し目を瞑っていた。
そして、決心したかのように、目を開けて言った。
「門外不出の書の内容を、ここまでお話しいただいたのです。
私が当人かどうか、まだ不明ですが、もう少し話を進めて下さい。
鍵となる人物が見つかると、どうなるわけでしょう?」
良知和尚は頷いた。
「書には、大震災が起こる、と記されていました。
海が迫り、寺が防ぐ。
人々は助かるが、寺は最後となるだろう、と」

ここで、良知和尚はカバンからノートを出した。
そして、そこに図を描きだした。
「青龍寺はなだらかな坂の上に建っています。
その後ろは山というよりも、丘になっています。
そこは寺の敷地で、小さな奥の院があります。
そして、ずっと枯れることがない湧き水の池があります。
寺の水はここから引いています。
丘のほとんどは竹林になっています。
面積は約50万平米ですから、700m×700mくらいでしょう」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1109」

2016-11-27 19:17:23 | Weblog



カルテ番号 ら・1(11)

風間陽水が頷いて言った。
「おっしゃる意味、わかるような気がします。
辻に立ち止まり、経を唱えて、そこに留まる邪気を浄化する。
寺に来る人の、黒く重いモノを先祖の供養に託けて浄化する。
誰も理解してくれなくても、本来の行いをする僧侶。
私の治療も似たところがあります。
その説明をしたら、逆に誤解をしてしまう。
だから、本人に判らぬように、知られぬようにする事はあります。
でも、私にとって、それは普通であり、特別ではありません。
それが仕事ですから」

良知和尚は言った。
「この治療院に入った瞬間から感じていました。
この空間は特殊ですね。
それが、先生の氣というものなのか、そういう造りにしたのかはわかりません。
種類が少し違いますが、寺にも、こういう感じがあります。
場がいい、とでもいうのでしょうか?
いずれにしても、ここが拙僧の探していた処だと感じました。
やっとみつけたのです。
やっと、書の予言の人をみつけたのです」

陽水は笑った。
「良知さん、だから、勘違いですよ。
私は良知さんが思っているような人間ではありません。
そうですねぇ・・・
例えばとても重要な宝が入っている金庫があるとします。
それは、青龍寺にとって最も重要なモノだとします。
万が一、私が書に記された人間だとしても・・・
私は鍵かもしれませんが、宝ではありません。
鍵は、開ける鍵穴があり、回すと宝箱は開くかもしれません。
でも、鍵は宝ではありません。
材質は、単なる、どこにでもある、普通の鉄なのです」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1108」

2016-11-26 19:20:43 | Weblog



カルテ番号 ら・1(10)

風間陽水は苦笑して言った。
「せっかく持ち上げていただいたのに、申しわけありません。
それも良知さんの勘違いですよ。
私はワガママで治療師をしています。
苦しむ人を楽にしたい、というのではありません。
私が、その変化を見たいから、なのです。
生命を知りたいからなのです。
人を救いたいからではないのです」

良知和尚は首を振った。
「いいえ、先生が何と言おうと、間違いありません。
書には、その人の特徴まで書かれていたのです。
普通の人間ではない、と。
それがどういう意味だか、歴代も拙僧もわかりませんでした。
拙僧は特別優秀な僧ではありません。
それでも、僧ですから、見えないモノを相手にしています。
まぁ最近は、科学的な見方しかできない僧も多くなりました。
自分達の存在を否定するような考えで、経済的に仕事をする。
もはや、僧とはいえない人達も多いのです。

見えないモノと向き合うから、僧でいられる。
その事を活用すると、生きている人達が楽になる。
例えば葬式仏教と言われようが、死者に対する行いです。
命日、墓、亡き人を偲ぶ大切さ、です。
見えない仕組みを少しでも知っていただき、日々の暮らしに応用する。
御経を唱え、戒名を付け、塔婆を売る商売ではないのです。
時には、人々に話せないような、見えないモノも相手にしているのです。
本来、僧とは、そういう人に見せない行いをもしてこそ、やっと一人前です」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1107」

2016-11-25 19:52:32 | Weblog



カルテ番号 ら・1(9)

ここで風間陽水が口を挟んだ。
「私が御師匠様から教えていただいた事に、素直、があります。
もちろん最初は何で素直が重要なのか解りませんでした。
やがて、クライアントさんの心身の病を診させていただくようになりました。
そして10年も経つと、初期の対応の問題点が判るようになりました。
素直さ、だったのです。
物事を観る、行うには、素直が最も優れたものだったのです。
もちろん、今も余計な知識、経験、常識、その他が邪魔をします。
特に経験は積む利点もありますが、こだわると欠点になります。
素直は・・・目指す境地です」

良知和尚はにっこりと笑って言った。
「やはり、先生はただの治療者ではありません。
空海僧正の罠は、その事なのです。
本当は罠など仕掛けていません。
ところが、なまじ仏教を勉強している僧ほど間違う。
素直にとらえられないのです。
余計な考え、知識で解こうとする。
すると、ますます迷宮に入り込むわけです。
素直が罠になるのは、余計な知識や経験や学問なのです。
素直にとらえれば、出口はすぐそこに書かれているのでした。

風と水と火の名を持つ人。
単純にこの三つを持つ名前を探しました。
探すと、いるのですねぇ。
特に、法名や芸術名、著者名、ペンネーム等には多いです。
例えば、風水、火風、陽水などです。
そこから、風間陽水という先生のお名前もありました。
また、原点に帰り、一人一人を可能な限り調べさせていただきました。
すると、治療師の先生が浮かび上がったのです。
宗教の原点、理屈はいらない。
苦しむ人を楽にする人、先生にぴったりでした」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1106」

2016-11-24 19:27:41 | Weblog



カルテ番号 ら・1(8)

良知和尚は少し照れたように笑った。
「どうやら肩に力が入りすぎていました。
空海僧正の書を見ていると、自由闊達、融通無碍という言葉が浮かびました。
最初から書にはヒントがあったのです。
空海僧正は、仏教や寺にこだわらない。
そんな境地は超えていらっしゃる。
そして、自由は実にシンプルでもある。
謎など仕掛けない、作らない。
謎は仕掛けないが、罠は仕掛ける。
それは、悪戯っ子のような罠です。
素直であり、曲げてもいる。
きっと、生きている事が楽しくて仕方ないのでしょう。
寺の最後を示す書にさえ、そういう余裕の微笑みがある。
・・・ような・・・気がしました。

もう一度、最初から考え直してみました。
僧正は、寺や仏教を守る為に書を残されたのではない。
何の為に寺があり、仏教があり、僧がいるのか?
それは、多くの自分達と同じ生きとし生けるモノの為。
お互い、支え合い、助け合い、生命を繋ぐ為。
その生きている間は、苦しみを少なくし、喜びを増やす為。
少しでも、お手伝いをする為。
そう原点に帰ってみれば、息が深く、楽になりました」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1105」

2016-11-23 19:39:45 | Weblog



カルテ番号 ら・1(7)

風間陽水もアーユルヴェーダについては多少学んだ。
とはいえ、あまりにも膨大な内容だった。
先生となっていただいたのは、アーユルヴェーダ医師。
インド人だが、日本の医科大学も卒業し、西洋医師でもある。
南インドに先生の大きな病院もあり、アーユルヴェーダの治療をしている。
日本では、アーユルヴェーダ学校の校長をしていた。
天才といっていいだろう。
数か国語を自由に操り、日本語も漢字を含めて不都合なく書ける。
多くの学問を速学できる医師だった。

その医師が、アーユルヴェーダを一生勉強しても、その1割も学べないと言った。
風間陽水は、その言葉で、決して深く勉強しないと、誓った。
それでも、数十回は講義を受けた。
南インドの病院も訪れた。
だから、三元素のヴェータ(風)、カパ(水)、ピッタ(火)を知っていた。
そこに五大要素を組み合わせるのだから、より複雑になる。
中医学(一般的には東洋医学)は二元素(陰陽)に五要素を組み合わせる。
これは、アーユルヴェーダが元だと思われる。
そして、チベット医学はよりアーユルヴェーダ医学に近いと思った。

「拙僧は、風の名前を持つ人、火の名前を持つ人、水の名前を持つ人を探した。
日本では、その苗字も少なくないのです。
風間、火は日と同じ意味だから、日野、水野、等、結構あります。
実は、歴代の住職達も、少しずつではありますが、探していたのです。
寺には、苗字、名前が風、水、火のつく人達の資料もありました。
だが、寺に関わるような、該当する人物がほとんど見当たらない。
見つけたとしても、三人の接点など無理な話でした。
どうやら、最初から考え方が間違っていたと思いました」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1104」

2016-11-22 20:28:31 | Weblog



カルテ番号 ら・1(6)

風間陽水も兆候の重複については知っていた。
昔、チベット亡命政府に行く前に事前の勉強をしていた。
歴代のダライ・ラマは、転生で決定していく。
その為の候補者には、幾つもの兆候が重複している。
無知な科学的信者は、その重複する兆候の確率を計算してみればいい。
兆候の重複というのは、一つを決めるには、とても優れた方法だ。
空海が予言書を書くなら、兆候の重複を記しているだろう。
そして、その兆候が重なるほど、その時期は信じられるだろう。

「詳しくは、いずれ紹介するとしまして、次の目的に動かねばなりません。
住職として、それは何よりも優先しなければなりません。
次の目的とは、キーマンとなる人物を探す事です。
ただし、ここで拙僧は勘違いをしていました。
いや、歴代の住職もおそらく勘違いをしていたでしょう。
書のその部分を現代風に表現するなら、風と火と水の名を持つ者。
拙僧はどういう意味かと研究してみました。

インドのアーユルヴェーダは、幾つもの宗教の原点ともいえます。
アーユルヴェーダは、とてつもなく大きく広く深い学問です。
いや、学問ではなく、実践哲学、実践方法を記したものでしょう。
それは、人が一生を幸せに生きるには、どうしたらいいか、というものです。
宗教の原点といってもいいでしょう。
おおよそ6500年前と言われますから、仏教やキリスト教より遥かに前です。
そのアーユルヴェーダに、この世の三元素として書かれていたのか・・・
風と火と水、でした」

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・1103」

2016-11-21 19:44:11 | Weblog



カルテ番号 ら・1(5)

良知和尚は一息ついた。
「おそらく・・・拙僧が最初で最後となるでしょう。
その理由を、これからお話しします。
書には、寺の開祖が寺の最後を予言するところから始まります。
拙僧には、ダイナミックな空海僧正らしい書き方だと思いました。
もっとも、そう思えるようになったのは、僧正を研究してからです。
逆な言い方をすれば、それまでは寺は安泰だということです。
事実、多くの古刹が幾度も災難にあっています。
その多くは火事ですが、特に戦争時の火事が多かったのです。
戦国時代や明治維新、第二次世界大戦の末期。
多くの寺は、大切な御本尊や仏具も取り上げられました。
挙句に空襲で焼けてしまいました。
その他にも、大地震や津波もありました。

一部の修理だけで1100年以上持ちこたえている寺は少ないのです。
まして、青龍寺は名前こそ立派ですが、規模は小さな寺です。
小さいから、戦争時も目こぼしになったのかもしれません。
歴代の住職は、ある意味安心して御務めができたのです。
この寺は、つぶれない、壊れない。
空海僧正のお墨付きですから。
寺の最後には、幾つかの兆候が現れると書かれていました。
代々の住職は、その兆候だけを注意していればよかった」
良知和尚の話す言葉、態度、表情は穏やかだった。
「そして、拙僧の代になり、最近になって、兆候らしき出来事がありました。
兆候は一つではありません」

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