水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「風間陽水の依頼簿(カルテ)・106」

2014-01-31 19:37:54 | Weblog



カルテ番号 こ・2(1)

小泉武雄は47歳。
農業で暮らしている。
土地はそれほど広くないが、リンゴに切り替えてから何とか生計は維持できている。
今の日本では、よほど広くないと米作りでは暮らせない。
もちろん農業というのは天候が大きく影響する。
どんなに努力しても工夫しても天候が悪ければどうにもならない。
まして、リンゴはせっかく最終段階までこぎ着けても台風で全てダメになることさえある。

農業はいいモノを作ろうとすると、手間をかけないと出来ない。
リンゴも一年中手間をかける。
40歳を過ぎてから、その手間が好きになった。
朝早くからリンゴ園を見回り、一作業してから朝食をとる。
一休みして午前中の作業、昼食して午後の作業。
暗くなると一日が終わる。

百姓は自然と一体になって一人前だ。
父親の言葉が納得できる歳になった。
手間をかけたリンゴが可愛い。
リンゴ園にいる時間が幸せなのだと、つくづく感じるようになった。
大人しい妻も共に作業するが、ほとんどは一人でしていた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・105」

2014-01-30 18:50:39 | Weblog



カルテ番号 け・9(8)

見城弘子の場合。
感情が激高したことが引き金ではあったが、それは仕方がない。
感情はコントロール出来ない。
表面では隠すことも芝居することも出来る。
それは感情のコントロールではなく、表現のコントロールだ。
感情は理不尽なモノ。
理不尽をコントロールするのは無理というものだ。

だが、感情はキマグレだからいつまでも同じ姿勢でいられない。
それを持ち続けるのは、本人の意識だ。
つまり、感情が起こるのは仕方ないが、それを持ち続けるのはコントロールできる。
そして、身体でも心でもモノでも影響するのは続けた場合で決まる。
見城弘子は、激高した事にこだわってしまったのだ。

こだわりを放すと、様々がやわらぐ。
やわらぐと、ほとんどが調和する。
身体や心なら回復に向かう。
その後の見城弘子の左足から不随意運動が消えた。
まだ多少の不自由が残り、杖は使うが何処にでも出かけられるようになった。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・104」

2014-01-29 18:08:51 | Weblog



カルテ番号 け・9(7)

見城弘子は今までのわだかまりを風間陽水に話し終えたら、解った。
足を元に戻したくて、12年間いろいろ試してみたが、そうではなかった。
本当は胸のわだかまりを無くしたかったのだ。
本当は足が元に戻ることは、とうに諦めていた。
自分が招いた結果だ。
ただ、本当の事を誰かに話したかった。

「先生、足は治らんでもいいよ。何だかスッキリしたで」
風間陽水は笑顔で言った。
「見城さん、完全に元に戻るには時間がかかるけど、今までよりもずっとよくはなりますよ」
見城弘子は風間陽水が気安めで言ってくれているのだと思った。
「そうかね。少しは楽になるかね」
「見城さんが、自分で治るカギを回しましたからね」

身体はいつでも治る方向にいる。
ただ、その力を邪魔するものがある。
例えば、生活習慣や勘違いや無知による行動。
そして、霊障もある。
だが、最大は本人の意識だ。
それも新たな意識が必要なのではない。
こだわっていた意識を外すだけで、回復力は大きな力となり身体を変える。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・103」

2014-01-28 19:41:49 | Weblog



カルテ番号 け・9(6)

理屈は幾らでも作ることができる。
店を譲って張り合いがなくなったのに夫が楽しそうなのが面白くない。
店への執着がとりあえず夫に向かった。
特に自分に向かなくていいが、他の女に優しくするのは許せない。
自分に内緒で、付き合っているのではないか。
今までほぼ一人で苦労してきたのに、夫は他の女性と楽しくやっている。

本当の事などわからないが、とにかく弘子はそう思ったのだ。
思ったとたんに、頭に血が上った。
やや高血圧だった弘子は、その瞬間にめまいを感じた。
その後、ろれつがまわらなくなり病院に行って脳梗塞と診断された。
医者は脳出血になるとこで、出血になれば即手術だったと言った。
だが、左足に後遺症は残った。

夫の手紙を盗み見た事。
そこで血が沸騰した事。
その二つの事は誰にも言えなかった。
夫は気付いていたが、もちろん黙っていた。
落ち着いてみれば、とても恥ずかしい気持ちだった。
自分の生き方として、そんな事をした事が許せない。
見城弘子は正直な胸の内を、12年かかってやっと言えた。
風間陽水は相変わらず、淡々と聞いていた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・102」

2014-01-27 19:36:18 | Weblog




カルテ番号 け・9(5)

幹事でもある夫に、ある日手紙が届いた。
戦友会の一人が亡くなり、残された奥方からの手紙だった。
生前の親交の礼と、今後も変わらぬ付き合いをお願いします、という型通りの内容だ。
それを大切な書類入れに入れておいた。
普通は夫の持ち物を覗くことなどしない見城弘子が、手紙を開いた。

言葉は出す側と受ける側では、受ける側で内容が決まる。
固定概念として、出した側の意図が真実だとされるが、それは机上論。
机上論は正論かもしれないが、現実に適さない事が多々ある。
第三者あるいは実情をよく知る者にとっては、型通りの文章だ。
ところが、その時の見城弘子は違う受け取りをしたのだ。

感情と理性。
常に優勢なのは感情だ。
そして感情は行動を支配するだけでなく、肉体も支配してしまう。
それまでの見城弘子は女としての感情は乏しい方だった。
夫に恋慕も嫉妬もなかった。
それが、イキナリの嫉妬感情が沸き起こったのだ。
感情は、理屈ではないところから沸き起こる。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・101」

2014-01-26 19:32:17 | Weblog



カルテ番号 け・9(4)

12年前。
前年に娘夫婦に店を譲った。
自営業なので国民年金だが、月額7万にも満たない。
それだけで暮らせる人はいないだろうが、政府は知らんぷりだ。
政治家や役人は自分達で決めて、たっぷり貰える仕組みだ。
見城夫婦は個人年金というのに入っていた。
それで娘夫婦に頼らなくても、やっていける。

一人で店をこなしてきた性格だ。
夫に対して夫婦として支え合う習慣もない。
夫も何事もマイペースで自分の事をしている。
それが、店の忙しさから離れたら、何かと夫の行動が気になり始めた。
アレコレと口は出さないし、特に一緒にいようとも思わないが、気になる。

夫は兵隊仲間で作った戦友会の幹事をして、時々東京に出ていく。
生死を共にした仲間の会だから、団結力も親しみも強いようだ。
何とか生き延びた人達のせいか、身体も丈夫な人が多かったが、60歳を超えてから少しずつ人数も欠けてきた。
家族同士の付き合いも深かったので、自然と残された奥方も時には顔を出すようになった。
困った事があれば、仲間で相談にものっていた。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・100」

2014-01-25 19:14:41 | Weblog



カルテ番号 け・9(3)

物資不足の敗戦直後、見城弘子は小さな雑貨屋を開いた。
問屋などほとんどない頃だ。
自分で民家、農家を訪ねて売ってくれる物を探した。
物々交換もした。そうして、少しずつ品数を増やしていったのだ。
何もかも不足の時代だ。何もかもが商売になった。
幸いにも夫は2年後に無事で帰ってきた。
戦時中に結婚式だけした夫婦だった。
夫は23歳、弘子は18歳の時だった。

夫は身体が丈夫だが、大人しくて社交的ではなく、商売向きではなかった。
弘子は社交的であり気も強く、朝から夜中までクルクルと働いた。
子供も娘ばかり3人生まれ、今は長女が婿養子を迎えて店を切り回している。
5歳上の夫も、今なお元気でいる。
いろいろあったが、今は悠々自適の生活といっていいだろう。
そんな半生を風間陽水に語って聞かせた。

「一所懸命にしてきたことが実を結んでいるのですね。
ところで、12年前に何かあったのではないのですか?」
見城弘子は脳梗塞の原因を誰にも話していなかった。
夫は知っているが、夫は誰にも話さない。
やっと、話してもいい相手が来た、と思った。
本当は話したかったのだ。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・99」

2014-01-24 21:28:20 | Weblog



カルテ番号 け・9(2)

2日後の午後、その気功師が出張してくれた。
今までも氣功整体とかの治療を受けたことがあるが、何の変化もなかった。
何も感じないし、普通の整体と変わりないと思った。
もっとハッキリいえば、そんな能力は無いと思った。
今度の人は整体師のように曲げたり押したり揉んだりはしない、と言っていた。
20年もしているそうだから少しは能力もあるのだろう、と半分期待している。

風間陽水を一目見て、見城弘子はとまどった。
これでも戦前、戦中、戦後の混乱期を生きてきたのだ。
夫が兵隊に行き、戦後の店を手伝ってくれたが実質的には一人で切り回した。
人を見る目は一応あると思っている。
そうでなければ、ここまで来られない。
なのに、自分から見れば若造の風間陽水の人物像がわからない。

「見城さん、話をしながら出来ますので、12年前の梗塞になる前に何があったか教えて下さい」
風間陽水は足には触らず、背中と腰に手を当てて、そう言った。
見城弘子は話好きな性格である。
12年前どころか、戦後まもなくの頃から話し出した。
風間陽水は黙って聞いている。

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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・98」

2014-01-23 20:27:44 | Weblog



カルテ番号 け・9(1)

見城弘子は77歳になった。
12年前に脳梗塞をした後遺症で、左足に不随意運動が起こる。
意識しないのに勝手に足がピクッと動く。
その時に、いろいろなモノにぶつかってしまう事が多々ある。
大きな怪我には至らないが、打ち傷が絶えない。
杖で慎重に歩くので、転倒することはほとんどない。
それは、眠っていても起こる。

病院では治す方法が無いという。
ただ、脳梗塞の後遺症は治る事もあるという。
病院以外の治療院や治療者も何度も試したが変化はなかった。
積極的な性格だ。
何でも試すことにしている。
まだまだ行きたい所、したい事は沢山ある。
それには、この足では不便なのだ。

ある時、親戚の人が気功の治療師を教えてくれた。
他で治らない病を引き受けるらしい。
40キロ程離れたところにあるが、出張して来てくれるという。
早速電話をかけた。
店は娘夫婦に任せたが、ここまで大きくしたのは自分達夫婦だ。
財産もそれなりに持っているし、何をするのも気兼ねない。


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「風間陽水の依頼簿(カルテ)・97」

2014-01-22 19:31:44 | Weblog



カルテ番号 く・6(13)

風間陽水の話が最初の質問に戻った。
「法則内と法則外があるのですから、何だってアリ、になります。
霊による人の影響も何でもアリになります。
ついでに人と人、人とモノ、人と自然なども同じです。
つまり、原因追究し解決を導く方法は枠内なら通用しますが、通用しない事も多々ある、となりますね。
だから実際の方法としては、一応原因を追究し、解らなければ放り出す。
いずれにしても物事を変える方法はあるのです」

黒沢典孝は今まで何度も考えた。
何で頭痛がするのか、原因は何か?
答えが解らなかったのだから、もう原因追究はいいのだ。
そして、頭痛が消える現象があった。
「でも、これだと今後の予防にはなりません。
何かいい方法はないでしょうか?」

風間陽水は簡単に即答した。
「勝手に変わりますから、そんなに気にしないでも大丈夫ですよ。
予防が必要かどうかはわかりませんが、以前よりも頭痛は減ります」
黒沢典孝は思った。
頭痛は結構辛いのだが、そんなのでいいのか。
まるで心を読んだかのように風間陽水は言った。
「そんな程度でいいのですよ。辛かったら来て下さい」
親切なんだか、無責任なのか判らない院長だった。


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