水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「迷解剣客商売・41」

2011-06-10 18:38:55 | Weblog



三冬は剣客として一流だ。
だが、大治郎レベルには届かぬ。
一流でも幅はあるものだ。
女の体では、最後の壁を突き破れぬと小兵衛はいう。
その三冬に縁談があった事を大治郎に告げる。
例の如く、三冬と試合をして勝ったなら、という条件だ。

大治郎は相手の名前を聞いて、悩む。
嘗て試合をした相手だった。
大治郎が勝ったが、三冬では勝てない。
しかも、性格が悪い・・・
それだけでなく、鈍感大治郎も三冬が好きだと意識する。
悩んだ顔で、小兵衛に会いにいく。
そして、一喝された。
剣の師匠は厳しいのだ。

とはいえ、親としては、陰ながら応援したい。
御用聞きの弥七に協力を頼む。
「実はな、お前の智恵も借りたいのだ」
「先生のおっしゃる事なら、盗みでもいたしますよ」
「御用聞きのお前がかえ?」
「ええ、いたしますとも」
弥七にとっても師匠の小兵衛だ。
絶対の信頼をおいているから言える言葉だ。

腕は一流だったが、性格が三流の相手。
己の腕を過信して、小さな道場主に敗れる。
その帰りに野菜売りの老爺にぶつかり、八つ当たりに刀を抜く。
そこに小兵衛が(軽く)相手をして、足を切る。
こうして、三冬との試合は不成立となった。
父親の田沼意次も相手の正体を知り、今後は三冬の好きにさせると誓う。
(「三冬の縁談」より)

        
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「迷解剣客商売・40」

2011-06-09 20:20:30 | Weblog


今日の独善つぶやき・・・

今日も桐生に出張治療。
5時間の治療依頼だった。
長い時間をするのは、充実していい。
「疲れるでしょう?」と聞かれるが、
氣功自体は、そうでもないのだ。
身体を動かさないから、疲れるだけだ。
遠慮しないで、もっと依頼してくれぇ・・・


「迷解剣客商売・40」

数名の武士に襲われている男を助けた大治郎。
手当ての甲斐無く亡くなるが、襲った方は邪推する。
死ぬ前に、秘密を大治郎に話したのではないか?
大治郎を暗殺しようと画策するが、大治郎強い。
ついに、首謀者の旗本主が自慢の槍術で乗り出る。
不意打ちをかけるが、大治郎、切り伏せる。

「五千石の大身を切って捨てたことになる」
「さようで・・・」
まぁ、相手が悪いのだから大治郎にはお咎め無し。
理由も、くだらない事だ。
なにも人を殺してまで守るような出来事じゃない。
旗本、大名、将軍、大統領、首相、主席、国王。
くだらない連中は、地位に関係なく、どこにでもいる。

それでも手傷を負った大治郎。
介護するという内弟子の粂太郎に小兵衛が言う。
「わしの家に来い、ご馳走してやるぞ」
「いえ、私は若先生の看護を・・・」
「今夜は、別の人に看護させてやれ」
見舞いの品を抱えて、向かって来る三冬を見つけたのだ。
三冬の心を見透かした、親心の小兵衛だった。
(「暗殺」より)

        
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「迷解剣客商売・39」

2011-06-08 18:36:59 | Weblog


今日の独善つぶやき・・・

昨夜、パソコンのディスプレイが壊れた・・・
バックライトが切れたらしい。
どうしても直らないので、今日中古を手に入れた。
ついでに、最近のパソコンを見てきた。
いいなぁ・・・ワシのパソコンと大違い。
10ギガという骨董価値がつきそうなのを使っているのだ。
パトロン求む・・・


「迷解剣客商売・39」

ある日、鰻売りの又六が小兵衛の家にきた。
ドジョウを手土産に、ちょ、と相談をしにきた。
「こんな事は、全く、余計な事かもしれねえですが」
「世の中の、善い事も悪い事も、
みんな余計な事から成り立っているものじゃよ」

ワシは、長い間「世の中の事は全て必要必然で成り立っている」
底の浅い、精神世界の言葉で、そう学んできた。
それが、単純な、上辺の言葉だとは、気づかなかった。
中々、深い言葉と思い込んでいたものだ。
現象に一々意味を考えたり、因果を重んじたり・・・
若気の至り、というヤツかなぁ・・・

今は、小兵衛の言葉に納得している。
この世は、余計な事が余計な事を引き起こしている。
その為の舞台として、この世があり、諸行無常というシステムがある。
余計な事を(しっかり?)体験するのが、この世に存在した意味かも。
と思っているが、本当の事は人間では解らないと知っている。
まぁ、事実として、余計な事だらけで、結構面白い。
面白いとは思えない出来事も、体験には違いないし・・・

        
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「迷解剣客商売・38」

2011-06-07 19:45:46 | Weblog




毛饅頭を教えてもらった大治郎と三冬。
続いて三冬は、男女の行いを初めて目撃する。
何故か修行を積んだ三冬の心臓が勝手に動悸する。
そのまま、事件に巻き込まれ、大治郎を頼る。
時々、大治郎に対して、赤くなるのも解せぬまま。

大治郎の活躍で事件が解決した。
事の顛末を御用聞きの弥七が解説する。
三冬が目撃した場面を話そうとすると、
「存じませぬ、存じませぬ」
真っ赤な顔で三冬は、かぶりを振る。

朴念仁の大治郎。
「いったい何を見たのです」
「存じませぬ!」
三冬は怒ったように外に駆けていく。
超鈍感な大治郎。
「はて・・・?」

純情な二人は、少しずつ融けていく。
融通が目覚めていく。
そして、お互いを意識していく。
何とも、微笑ましい、剣客の二人だ。
(「西村屋お小夜」より)

        
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「迷解剣客商売・37」

2011-06-06 20:37:34 | Weblog



剣一徹な大治郎が変っていく。
父であり師匠でもある子兵衛の雰囲気に染まっていく。
その過程が、又何とも微笑ましいのだ。
一人で小兵衛馴染みの酒屋に入り、ゆっくり酒を飲む。
雨宿りの時間つぶしとはいえ、以前なら考えもしなかった。

酒屋の夫婦は、そんな大治郎を嬉しそうにながめる。
「若先生が、お一人で酒をあがるなんざ、全く珍しい」
「きちんと、こう座って、あの飲みっぷりがよかったね」
「不動さまの若いときのような、かたちでね」
まだ、生真面目な飲み方なのだが、可愛いのだ。

そこで起きる傑作な詐欺事件を小兵衛に話す。
昔はテレビもラジオも無いのだ。
当然として、面白い話は双方の楽しみとなる。
野次喜多道中を読むと、当時の風俗がよく描かれている。
人と人の話術が洒落ていて、話す事が生活に大きくかかわる。
簡潔でも、言葉に心や情けや嬉しさ愉しさを乗っけて話していた。
話は、愉しいものなのだ。

美味い鯰を食べ過ぎて腹を下した小兵衛。
薬を貰いにきた大治郎に、町医者の宗哲が言う。
「小兵衛さんに、あまり薬を飲ますと、かえっていけない。
なにぶん、体が人間ばなれしているからのう。
なあに、薬のかわりに、毛饅頭でも食べさせれば、すぐ元気になる」
まじめ顔で宗哲先生、とんでもないことを言い出した。
「け、まんじゅう、と申しますと?」
わけがわからない大治郎。

今度は、その事を思い出して三冬に言う大治郎。
「三冬どのは御存知か?その、毛饅頭なるものを」
処女の生真面目な佐々木三冬だ。
「耳にしたこともありませぬ」
双方とも、男と女を知らぬ一流の剣客だ。
その正体を教えてもらおうと、小兵衛の隠宅に向かうのだった・・・
(「鰻坊主」より)


        
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「迷解剣客商売・36」

2011-06-05 19:05:22 | Weblog



嘗て負けた小兵衛に勝つために現れた剣士。
試合にて人を殺すことを喜びとする、残虐な性(さが)。
普通の両親から生まれた、異常な才能。
その飛び抜けた強さと、魔性。

驚く牛堀に小兵衛が言う。
「人の世には、計り知れぬ事があるものじゃよ。
もともと人間なんてものが、わけのわからぬものさ」
人を観る、名人としての小兵衛の言葉だ。
これが基本にあるから、全てを認めていられる。

才気盛んな魔性剣士、千代太郎。
才能と復讐にこだわりすぎた。
大治郎の自由な手法、無外流に敗れたのは当然かも。
「父上、ごらんくだされましたな」
「わしもな、同じやり方で闘おうと思っていたのさ」
無外流の真髄は、こだわらないのが特徴だ。
(「天魔」より)

        
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「迷解剣客商売・35」

2011-06-04 19:41:35 | Weblog



小兵衛も男色(なんしょく)が理解できない。
出来ないが、好奇心旺盛だ。
武士同士のゲイの一人と親しくなった。
そして、おはるに教える。
「男と女より、絆が強いそうな」
少数派だから、パートナーと出会う事が貴重なんだろうな。

女房役の武士の献身的な振る舞い。
「本当の女でも、ああは、まいりません」
酒屋の亭主も感心する。
心情が理解できなくても、偏見はないのだ。
理解できなくても、同じ人だと認める。
これが世界平和の鍵だと思うぞ。

命を賭けて、好きな男に尽して、最後は武士として切腹した。
「おまえさんは、今死なすには、本当に惜しい人だったよ」
小兵衛の両眼が、じわりと、うるみかかった。
宮崎駿監督の映画で描かれる妖怪と人の関係。
多種多様な妖怪など理解できない。
理解出来なくても、主人公は彼等を認め、仲良くなれる。
人と人、人と動物、人と自然の暮らし方が示唆されている。
理解なんざ、どうでもいい。
同じ地球上に存在している仲間だ。

        
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「迷解剣客商売・34」

2011-06-03 18:59:13 | Weblog



人の心の不可思議さの一つ、男色。
まぁ、今ならゲイといい、女同士も含む言葉だ。
日本のみならず、古今東西、いつの時代でもあった。
あったが・・・、理解できない人には不可思議だ。
ワシも生理的に理解できないタイプだ、ごめんなさい・・・。

生理的というのは、理屈ではなく、生命の深い部分の反応だ。
ワシは毛虫芋虫類が生理的に苦手だ。
蛇類が苦手な人もいるだろう。
彼等は何も悪くないし、異常でもない。
そんな事は解っている。
生理的に反応してしまうが、ただそれだけだ。

理性的には理解できる。
どの生物にも一定の割合でゲイがいると知っている。
決して、異常な心情や身体ではなく、全く正常なのだ。
ただ、マイノリティ(少数派)だから、差別されやすい。
少数派を無視したり、イジメたりする社会が奇形だ。
ワシは、個人的な生理的反応と、社会的イジメを混同しない。
ワシの性格や生き方など、まさにマイノリティそのものだし。

武士(男性)社会は、男色は社会的認知されていた。
日本は、そもそも、性の多様性に大らかな国だったのだ。
性に大らかなのは、人と人にも大らかな、いい国の条件の一つだ。
見せ掛けの常識に縛られる現代社会の方が、狭く、卑怯な国なのだよ。
小兵衛の時代は、男色は普通の社会風俗の一面だった。

        
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「迷解剣客商売・33」

2011-06-02 18:18:36 | Weblog



並外れた力持ちの女性がいた。
通称、金時婆さん。
本名は、おせき、54歳。
当時は、20歳過ぎれば年増。
27歳くらいでも大年増。
でもなぁ・・・婆さん、は酷いだろう。
ワシより若いし・・・

剛力だけでなく、とても親切な女性だ。
武士を橋から川に投げて(他人の)子供を救った。
目撃した小兵衛は、その武士達の仕返しを心配して芝居する。
おせきの家に居候するのだ。
その時、寝食代として2両(30~40万)を差し出す。
おせき、こころよく、あっさりと受け取る。
小兵衛「こいつは、ホンモノだ」と直感する。
下手に遠慮したり、断ったりしないから、本物の親切者だと見切る。
もちろん、無料でも同じ態度だったろう。

その怪力は生まれつきだと知った小兵衛。
「人間の備わったものの恐ろしさ、見事さ・・・
まことに不思議なものだな、人間という生き物は・・・」
人の心の不思議さ、辻褄の合わぬ仕組みと充分知っている。
だが、体の能力の可能性は、感嘆し尊敬する仕組みがあった。
小兵衛は、心の未熟さと体の見事さを知って人を観る。
(「深川十万坪」より)

        
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「迷解剣客商売・32」

2011-06-01 18:16:55 | Weblog



士農工商という身分制度があった。
武士は威張っていた。
威を張るのは、心が狭いからだが本人は気づかない。
今でも、地位、役職とか性別とかで威張る男がいる。
恥ずかしいという事を知らずに育ったからだ。

小兵衛は名人になった。
剣の道からも、武士からも放れている。
だから、武士社会(男社会)のアホらしさを口にする。
人品卑しいまま、権力を持つ階級を痛烈に批判する。
「世の、人の手本ともなるべき大名・武家。
このざまでは、徳川の世も末だのう」
現代でも、全く通用する言葉だろう。

武士や男社会の常識から解放されている小兵衛だ。
飯も汁も簡単に作る。
まだ武士社会の剣客意識の三冬に夕食を作ってやる。
三冬は赤面する。
これも、現代に全く通用する。
自分や他人の飯を作れぬような男は使い物にならない。

        
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