水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「迷解剣客商売・59」

2011-06-28 18:38:20 | Weblog



この小説の幾つもの柱の一つに、親子がある。
小兵衛、大治郎なら、父と息子だ。
田沼意次と三冬なら、父と娘だ。
義母のおはる、と大治郎、あるいは三冬。
又六と母や、その他の親子関係もある。
池波氏の他の小説にも、大きな柱の一つとして描かれている。

小兵衛66歳、大治郎31歳。
現役の剣客としての大治郎、益々進歩している。
無外流としての一流だから、人間が練れてきている。
単に技や腕の強さだけではない。

小兵衛は名人だが、友との死別などが多くなるにつれ
「ワシも、もう年かな」などと弱気になる事もある。
人は、肉体の衰えや悲しみの蓄積で気力が下がる事がある。
嘗てなら簡単に乗り越えられた心の障害も、足踏みする事がある。
人に、完成形など無いのだ。

父と息子が同じ道を歩く。
偉大すぎる父を超せない場合もある。
全てではないにせよ、父を超える場合もある。
その微妙な距離に小兵衛と大治郎がさしかかっていた。

        
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
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コメント
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