水上陽平の独善雑記

水上陽平流の表現でいろいろな事を書いています。本館は http://iiki.desu.jp/ 「氣の空間」

「迷解剣客商売・42」

2011-06-11 19:09:39 | Weblog



抜荷事件に巻き込まれて拉致された三冬。
大治郎が鬼の形相で敵地に乗り込み救出する。
父親の田沼意次は通常の言い伝えと違い、傑物だ。
地位や家柄など気にせず、大治郎に頭を下げた。
「どうか三冬を妻に迎えていただけぬか?」
朴念仁で赤くなって、口もきけぬ二人に代わり小兵衛が了承する。
そして、実に簡素な、心こもった婚礼がおこなわれた。
意次は涙を隠そうともせずに、娘の姿を喜んだのだ。

町人と変わらぬ暮らしの大治郎だ。
そんな暮らしの妻の仕事を何も知らぬ三冬。
脂汗をかきながら、懸命に飯を炊く。
「米が飯に変じましたかな?」
「今夜は、だ、大丈夫・・・かと思います」

近くの百姓の女房に教えてもらってるが、思うようにできない。
炊事洗濯生活一般は下男下女がやってくれた三冬だ。
本人は男と同じ剣客として生きてきたのが急に妻になったのだ。
男装から女装に変わり、歩き方の足さばき一つがぎこちない。
三冬(どうも、剣術のようにはまいらぬ)

大治郎は男料理だが普通にこなせる。
ちゃ、ちゃ、と御飯の上に作ったおかずを乗せて三冬に渡す。
「さ、おあがりなさい」と大治郎。
「かたじけない。む、これは、うまい」と三冬。
奇妙で、可愛らしく、超強い新婚が出来上がった。
大治郎の優しさ、三冬の素直さ、理想の形と思えるがなぁ・・・

        
(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。
治療・若返り・悩み相談受付中。日本中出張します)
コメント
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