あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

花のあとさき ~あのときムツさんにきいたこと~

2021-10-22 15:52:13 | 

 埼玉県秩父市の山あいの集落である太田部楢尾をNHKが2001(平成13)年から記録してテレビドキュメンタリー『秩父山中 花のあとさき』として放送、さらにその集大成の映画『花のあとさき』を2020(令和2)年に公開、その書籍化としての本です。

 限界集落が地域では課題とされながらも、日曜日の夜に放映される「ポツンと一軒家」の人気もあり、この本を読みました。自分たちが生まれ育ち、炭を焼き、林業に励み、畑を耕し、そして、自然に抱かれながら家族とともに成長したその場を離れなければならないという苦渋の選択を予想し、少しでも自分たちの手により、花の咲き、紅葉を楽しめる樹木を植樹する、その姿は美しいの一言です。また、語られる言葉も胸に響きます。

 「山の恵みってのは、人間を活かすようにできている」

 われわれ、都会で暮らす人々にはとても感じえない、自然人としての気持ちでしょうね。春に開花して謳歌する樹木やモミジの美しさ、そして、彼らの姿の佇まいの写真と共に、「人生の終わり支度の見事さ、自然の営みと共に時を刻んでいく生き方」に憧れます。

『花のあとさき ~あのときムツさんにきいたこと~ 』(伊藤純、百崎満晴著、徳間書店、本体価格2,200円、税込価格2,420円)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« くらしのアナキズム | トップ | 不器用なまま、踊りきれ。 超... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事