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日本史でも江戸幕府8代将軍・徳川吉宗の享保の改革は学んだけれども、その世継ぎにこんなドラマがあったとは知らなかった。吉宗の嫡男の長福丸は誕生時にへその緒が首に巻き付き、誕生後長じても、話している言葉が聞き取れない、麻痺で片頬が引き攣(つ)り、手にも麻痺があるために筆談もできず、片足を引きずって歩き、最悪なのは尿を始終漏らすため、座ったり歩いた跡にはシミが残るために「まいまいつぶろ」と揶揄されてました。幕閣の中でも長福丸は廃嫡し、優秀なる弟が継嗣すべしという声が大きい。
しかし、彼の言葉を解する小姓・大岡兵庫が現れました。つまり、兵庫は長福丸の通詞役を背負うことになります。出仕するにあたり、兵庫の叔父・大岡越前守忠相は兵庫にこう告げます。
「そなたは決して、長福丸様の目と耳になってはならぬ」
すなわち、通詞だけに徹せよ、幕府組織の中で徹底的に公正な立場を維持せよ。
この後の物語は本書に譲りますが、長福丸、元服しての家重は障害はあっても、聡明な頭脳の持ち主であり、弱者の立場を理解する人そのものでした。兵庫は家重にとってはなくてはならない存在であり、主従とはいえ、二人で一役、一心同体の間柄。彼らには友情も培われたとしか考えられません。
ともかくも、山本周五郎の『さぶ』、百田尚樹の『影法師』と共に、感動の友情歴史時代小説に位置付けたい!
『まいまいつぶろ』(村木嵐著、幻冬舎、本体価格1,800円、税込価格1,980円)
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