あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

世界がかわるシマ思考 離島に学び、生きるすべ

2024-09-26 13:54:10 | 

 新年に地震、そして、復旧、復興の道を歩き始めた矢先に豪雨被害を被った能登。地震発生源に暮らし、地球温暖化、いや沸騰化に巻き込まれ、日本では災害はいつどこで起きるかわかりません。約30年前の阪神淡路大震災では、都市部でもまだ存在したと私自身が考える「シマ思考」はデジタル化の進展とともに脆くなっていると思います。

 本書では、これからの時代に「離島」から学べる豊かさのヒントを詳述し、「頼りになるものごと」「よすが」である「シマ」を取り戻す、もしくは培っていくことを訴えています。この「シマ」とは自然と共に生きるということであり、また、自助とともに共助できる人間関係を持つ地域を育てることです。「助けて」と言えるには、日頃からの関係性、地域の祭りや共同作業などに参加することから始まります。

 都会人にこそ読まれるべき書籍です。

『世界がかわるシマ思考 離島に学び、生きるすべ』(世界がかわるシマ思考制作委員会著、NPO法人離島経済新聞社編集、英治出版、本体価格1,900円、税込価格2,090円)

 

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実は、拙者は。

2024-09-10 17:09:28 | 

 著者・白蔵盈太氏の著書は『関ケ原よりも熱く 天下分け目の小牧・長久手』を読んだ事があり、人間観察力の高い面白い歴史小説でした。本書は時代小説ですが、これまた傑作でした。長屋に暮らす俸手振りの八五郎が袖振り合わす人たちが書名の通り、「実は、拙者は」と語る如く、別の顔を持っており、ある事件の解決に知らぬ間に手を貸す形に、八五郎が持って行ってしまう物語の展開に驚きました。そういう八五郎もあまりにも影の薄い存在を買われて、「実は、拙者」の立場を持っているのだから、江戸の下町の人々は要警戒ですが。

 読むにつけて、これは落語になるかもと~。意外な展開は笑いを呼びそうです。

『実は、拙者は。」(白蔵盈太著、双葉文庫、本体価格690円、税込価格759円)

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「縄文と神道」から読む日本精神史

2024-09-04 12:35:41 | 

 書名の通り、日本の精神は「縄文と神道」が基本になっています。

 縄文文化は「永遠性」「多様性」「共生」が大きな特徴であり、「自然との一体化」、そして、アニミズムの観点から自然を神と見立てて、「神との一体化」を志向します。ここから、神だけでなく、「相手と呼吸を合わせ」「相手との一体化」を図ろうとします。

 神道は「清明心」「正直心」を志向し、見えないものを大切にします。

 この二つがまさに絡み合い、「天道を基づき」「天を味方にする」姿勢が日本人には知らず知らずに染み込まれています。また、松下幸之助は、成功の秘訣は「運が強い人」であり、それは「徳を積む」ことでもたらせると語っています。「相手に寄り添い、相手の力と一体化」し、「自己の最善を他者に尽くしきる」と「感謝の人間関係」が生まれ、成功へと導かれます。

 もう一つ明記すべきことは、日本は「溜まり文化」であること。大陸から渡ってきた仏教、儒教、道教、禅を縄文のスタンスで一体化していき、時間と共に発酵し、どこにもない文化になっています。

 日本人に生まれ、日本の風土や文化で素晴らしい徳性を身に付けていきたいものです。

『「縄文と神道」から読む日本精神史』(田口佳史著、ビジネス社、本体価格1,700円、税込価格1,870円)

 

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