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落語で資本論

2023-07-28 12:56:16 | 

 「資本論を落語で読み解け!」という編集者の無茶振りに安請け合いの、ペンを武器とする落語家が格闘した1冊。師匠・談志、そして数々の落語ネタを難解な資本論を掛け合わすとどうなったか?

 読み進めると、資本論よりも談慶師匠の落語論とダジャレが脳みそに先に侵入して、マルクスもタジタジ状態でした。しかしながら、資本論と落語の対比をすると、

         【資本論】        【落語】
求めるもの    銭(ゼニ)と搾取    情(なさけ)と笑い
主たる人     資本家         ドの付くアホ もしくは 正直者

という構図が私の頭では生まれました。資本主義の世の中でその仕組みの一員である以上、資本主義の辛さからは逃れることは出来ず、それを緩和するストーリーを持ち、笑い飛ばせる落語を聴くことで癒されるはずです。つまり、

 「落語は資本主義の解毒剤である」

という見解に至りました。

 談慶師匠の談志師匠との師弟関係から、また落語との触れ合いから生まれた、「どんな世の中になっても周囲から必要とされる人間」、「余人をもって代えがたい、他の追随を許さない」存在こそが、この世では大切なこと。生きる上での至言もいただきました。

『落語で資本論』(立川談慶著、的場昭弘監修、日本実業出版社、本体価格1,800円、税込価格1,980円)

 

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