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閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

2017-06-18 15:12:46 | 

 日本国は成長戦略を推進し、日銀は量的緩和、マイナス金利にし、デフレ回避、失われた20年を打破しようとしています。しかし、経済が回復した実感は感じられず、この成長教を信じていいのかわかりません。

 近代を支えてきた資本主義は「蒐集」をすることにより成り立つ仕組みであり、周辺から中心へ富を集める形で発展してきました。そのモットーは

「より遠く、より速く、より合理的に」

であり、オランダ、イギリス、そしてアメリカのような海へ活路を見い出す資本帝国です。市場がアフリカにまで到達し、フォロンティアがなくなると、電子・金融空間を生み出し、投機マネーとデジタルの市場で圧倒し、グローバリゼーションを促進させました。さらには、同国民を中心と周辺と分け、格差をつくることで富の集中をしてきました。

 しかしながら、成長することが是である資本主義自体が低、あるいはマイナス成長を示し、ドイツや日本のようにマイナス金利を取らざるおえない体制になっています。日本はアメリカ従属の成長策を選択する一方、ドイツはEUという一つの経済圏を生み出し、一つの経済圏を生み出し、

「より近く、よりゆっくり、より寛容に」

を目指す、「閉じた帝国」へ歩んでいます。つまり、富の自己増殖も無理であるから、「定常」な「一定の経済圏で自給体制をつくり、その外に富(資本)や財が出ていかないようにすること」が求められます。

 地域の商店街でも、個人経営の店が減り、大型店やチェーン店が増えています。地域で富が循環する仕組みであれば、その地域人の多くは幸せに暮らせるでしょうが、富が外(日本であれば、本社の多い東京や、amazonであればアメリカのシアトル)へ流れ、たぶん2度と帰ってきません。その意味でも「閉じる」意味は大いにあるでしょう。これぞ、ローカル化でしょう。「より寛容」になれば、宗教上の戦いもなくなるでしょうし、全人類が地球人として生きる思いが大切だと思います。

『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』(水野和夫著、集英社新書、本体価格780円)

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